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インタビュー

ENTER SHIKARI

ニュー・レイヴ+メタル!?──よくわからないけど、彼らが危険だってことだけは間違いない!


 どこか独り歩きしている〈ニュー・レイヴ〉という言葉。〈そんなカテゴリー、俺たちには関係ないもんね!〉と、イギリス中のライヴハウスを荒し回っている4人組がエンター・シカリだ。基本はゴリゴリのデス・メタル。しかしそこにキラキラしたキーボードが乗るあたりが、〈ニュー・レイヴ〉っぽいところ。でもそれは、偶然から生まれたスタイルだったらしい。ドラムのロブ・ロルフいわく「音を厚くするために、キーボードでノイズやエフェクトを作ってたら、〈お、なんかカッコイイぞ〉ってことになって。それで、だんだんエレクトロニックなパートが増えてきたってわけ」。

 メタルの攻撃力にトランスの〈アゲ〉がトッピングされたサウンドは、もはやロックというより〈祭〉。ライヴ会場では蛍光色を身に纏ったレイヴ・キッズと黒革のメタル・ファンが合流し、人間ピラミッドを組んで盛り上がるという、ありえない光景が話 題を呼んだ。そして、そのユニークなサウンドを初めて一枚のアルバムとしてまとめたのが『Take To The Skies』だ。

「俺たちはライヴ・バンドだけど、アルバムではステージでできない実験的なアプローチを試してみたんだ。それにディテールや曲の流れにも注意を払った」(クリス・バッテン、ベース/ヴォーカル)。

 ライヴ・バンドとしての瞬発力と、スタジオ・レコーディングの冒険が合体した本作は、いまの彼らの勢いを捉えた最強のスナップ・ショットだ。ちなみに収録曲“Sorry, You're Not The Winner”のプロモ・クリップがこれまた強烈。

「ロブの両親がいない間に、ロブの家の居間に客を呼んでライヴをやったんだ。狭いところにスモークやレーザーを使ったから暑くて大変!」(クリス)。

「そうそう。一曲やるたびに、みんな外に出てビールをガーッと飲んでさ(笑)」(ロブ)。

 というわけで、連中のパーティーは始まったばかりだ。パパやママに怒られても、フル・ヴォリュームでこのアルバムをかけ続けるべし!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月29日 19:00

ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)

文/村尾 泰郎