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インタビュー

Sara Gazarek

木漏れ日のように清々しい歌声を聴かせる、見目麗しきシンガー・ソングライターが登場!


  「前作では表現できなかった私のルーツや、バンドのメンバーが愛する音楽の素晴らしさを、リスナーと共感し合えるような作品にしたかったの」。

 LAを拠点に活動するシンガー、サラ・ガザレク。全米ジャズ・チャートでTOP10ヒットとなったデビュー作『Yours』から約2年ぶりに届いた新作『Return To You』は、そんな彼女の言葉どおり、ジャンルの枠を軽く飛び越えて〈You〉――つまり誰しもが楽しめる多彩な仕上がりとなった。とりわけ「ずっと聴いてきた」と語るジョニ・ミッチェルの、ラテン・ジャズを思わせる躍動感のある“Carey”(前作でもジョニの“The Circle Game”をカヴァー済み)、しっとり聴かせるビリー・ジョエルの“And So It Goes”、控えめなストリングスが歌を際立たせるポール・マッカートニーの“Junk”といったポップスのカヴァーがまず目を惹く。その一方でサラ自身が「私たち」という表現を多用するほどの信頼関係にあるジョシュ・ネルソン(ピアノ)らバック・メンバーによる楽曲も、アメリカン・ルーツ音楽から洒落たソウル・グルーヴものまでグッとポップなアプローチに。そこで思うのが、彼女は前述のジョニやキャロル・キングなどのシンガー・ソングライター、あるいはマリア・マルダー、リッキー・リー・ジョーンズら、彼女のホームでもあるLA~西海岸バーバンク・サウンドの系譜にある人なんじゃないかと。

  「いま挙がったアーティストからは多くを学んだけど、今作ではカヴァーでもオリジナルでも、一度自分たちのフィルターをとおして、ジャズならではのインプロヴィゼーションや伝統に即することを心掛けたわ。あと、自分たちと違うスタイルの音楽を柔軟に採り入れることもね」。

 さらに「いまならエイモス・リーとジェイミー・カラムがお気に入り」とも。なるほど、両人とも型にハマらないタイプだ。そしてこれだけのマテリアルに見事な統一感を持たせているのは、ダイアナ・クラールでもお馴染みのプロデューサー、ジョン・クレイトンの手腕もあるだろうが、何と言っても彼女のヴォーカル。初夏の木漏れ日の如きサラッと心地良い響きは「ありふれた声ね」と本人がぶっちゃけちゃうほど飾り気のない、まさに〈自然体〉。やってくる鬱陶しい梅雨も、コレで万事快調!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月31日 15:00

更新: 2007年05月31日 17:42

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/岡本 大輔