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インタビュー

THE PIGEON DETECTIVES

思春期特有のわだかまりを、ストレートなロックンロール・サウンドにブチまけろ!


  いやはや、痛快、爽快! ピジョン・ディテクティヴズのファースト・アルバム『Wait For Me』には、聴く者の胸をスカッとさせる、溌溂とした青いエネルギーが充満している。リバティーンズ直系のロックンロールに、ポスト・パンク調のヒネくれたエッジを融合させたサウンドを鳴らす彼らは、UKはリーズ出身の5人組。並みいる新人の中でもこのバンドが眩しいほどの輝きを放っているのは、何より驚異的なまでにキャッチーなそのメロディーゆえだろう。アルバム丸ごと、一発必中の極上チューンが満載なのだ。

 「確かに僕らの武器は、楽曲の良さだと思う。アルバムを作るにあたっては、全曲シングルにできるくらい、ハードルを高く設定したんだ」(マット・ボウマン/ヴォーカル・ギター:以下同)。

  衒いなど一切なく、そう言ってのける23歳。〈できるだけビッグになりたい〉なんて発言も取り沙汰されたが、実際に話してみると生意気なところなどは少しもなく、実に素直かつ気配りのできる好青年である。

 「態度のデカい奴らだと一部で誤解されてるみたいだけど、全然そんなことないのになぁ(笑)」。

 メンバー全員が、5~6歳の時からの親友同士で、「18年近くいっしょにいるから、もう兄弟同然だね」という彼ら。小学生の頃は暗くなるまで公園でサッカーばかりしていた5人が、ボールをギターに持ち替えたのは13歳の時だった。

 「ビートルズに始まって、オアシスにブラー、キンクス、レッド・ツェッペリン、ストーン・ローゼズ、リバティーンズ……とにかく手当たり次第に聴いてきたよ」。

 〈5人の共通の趣味〉が、数年のライヴ活動を経て〈真剣な夢〉へと変わった頃、地元バンドのフォワード・ロシアのメンバーが運営するレーベル、ダンス・トゥ・ザ・レディオの耳に留まって契約。晴れて完成された本作は、曲調からも歌詞からも、青春の甘酸っぱさやホロ苦さが溢れんばかりに滲み出ている。

 「これは僕らの実体験をもとにした、〈少年が大人になっていく過程〉のドキュメンタリーなんだ。渾身の力を注いだ作品だから、できるだけ多くの人に共感してもらえたら本望だよ」。


ダンス・トゥ・ザ・レディオの最新レーベル・コンピ『Dance To The Radio -Something I Learned Today』(Dance To The Radio)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年06月07日 22:00

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/今井 スミ