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インタビュー

小山絵里奈

作詞・作曲からトラックメイキング、レコーディングまでをすべて(自宅で)一人でこなす、驚異のシンガー・ソングライターが登場!!


  「マイク・スタンドに(洋服の)ハンガーが掛かってるとか(笑)、もう本当に一緒くたなんです、生活も音を作る場も」と恥ずかしそうに話すその横顔は、まるで少女のように屈託なくあどけない。今年1月にミニ・アルバム『INLY』でデビューしたばかりの小山絵里奈。自宅の部屋は曲作りのための機材だらけ、なんてことが想像できないくらい、当の本人は透明感に溢れていて、ちょっと舌足らずな話し方もキュートだ。

 「DTMを始めたのは20歳過ぎのことでした。最初は手探りで。もともとはバンドで歌っていたんですけど、どうも私のやりたいことはバンドのサウンドじゃないなって思えてきて、じゃあってことで部屋で好きなように作っていこうと思ったんです」。

 実際、初のフル・アルバムとなる『VIVIDROP』は13曲すべてが彼女の自室で録音されている。トラックはもちろん、ヴォーカル録りもすべて彼女がたった一人で行い、アレンジや編集もみずから担当。「サウンド・オブ・ミュージック」のサントラでお馴染み“My Favorite Things”のカヴァーから、花柳界を思わせる和風アレンジがユニークなオリジナルの“花唄”までアレンジは多種多様だが、どれも人懐っこい愛らしさに包まれているのが魅力だ。未発表ながら“リンゴ追分”をカヴァーしたこともあるという。

 「これといってハマッた音楽がないんです。ただ、歌いたいテーマが最初にあって、それを雰囲気で完成させていく感じで。例えば“MONSTER'S BIRTHDAY”だったら、〈モンスターにピンヒールをプレゼントする〉ってイメージがあって、それに合った音を作って歌詞を書いてって感じなんです。どの曲もそんな漠然としたイメージで作ってますね」。

 坂本龍一のラジオ番組「RADIO SAKAMOTO」に応募し、絶賛されたのがデビューのきっかけだったものの、彼女は最初から揺るぎない独自の世界観を持っている。それは脳内で出来上がった寓話を、絵の具や色鉛筆などさまざまな道具によって一つ一つ音にしていく作業に近いものかもしれない。

 「教授には一応出来上がったものを送ったんですけど、あまり何も言われないですね(笑)。今回は基本的に私が好きなことをやるというのが最初からあったんです。好きなお菓子を集めるような感じというか。そういう意味でもすごく納得のいく作品です。これをライヴとかで再現するのは、ちょっと大変そうですけどね(笑)」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年07月12日 17:00

更新: 2007年07月12日 17:41

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/岡村 詩野