インタビュー

COLLIE BUDDZ

“Come Around”のビッグ・ヒットで話題の白人レゲエ・アーティストが、この夏世界を熱くする!!


 「レゲエは俺の人生だよ。毎日全部がレゲエなんだ。レゲエを聴いているか、レゲエのことを考えているかどちらかだから」。

〈あなたにとってレゲエとは?〉との問いをぶつけた時の、カリー・バッズの答えだ。取材中、日本のサウンドマンと話しているような錯覚に何度か陥った。レゲエとジャマイカに強い思い入れを持ち、「自分がレゲエで何ができて、レゲエのために何ができるか」を常に考えている強度のレゲエ馬鹿。ただし、訛りのある英語を喋るカリー・バッズは、珊瑚礁でできた人口6万5千人(!)のバミューダ島で育った肌の白い爽やか君だ。

「ジャマイカにはレゲエ、トリニダードはソカ、NYにはヒップホップがある。バミューダには特定の音楽はないけれど、俺の音楽には何かしらバミューダの影響が入っているから、聴いている人がそれを感じてくれたら嬉しいね」と、〈レペゼン・バミューダ〉にこだわる。

 ガンジャ・チューン“Come Around”が現場で火が点き、白人の青年による自作自演であることでみんなを驚かせた。デビュー・アルバム『Collie Buddz』にはクレイジー・ボーン(←ヤバイっす)やポール・ウォール、さらにニーヨで当てたプロデューサーのシェア・テイラーなどUS異ジャンルの助っ人も参加しているが、大半がスティーヴ・マクレガーやスーパー・ダップス、ジャム2ら第一線のプロデューサーによるレゲエだ。そこに、カリー・バッズはDJ、シングジェイ、歌と器用に行き来しながら、自分で用意したリリックとメロディーを乗せる。「メロディー作りを重要視している」と言うように、どの曲も合唱可能。また、マイアミのエンジニア学校を卒業し、機材を操れるのがイマドキのアーティストっぽい。

「ブースで歌ってからボードに向かってミックスして、またブースに戻るんだ。スタジオの中を一人で駆けずり回るから、同時にエクササイズにもなる(笑)」。

 メジャー・レーベルからデビューし、インターナショナルな展開を俯瞰しているため、ビヨンセやリル・フリップらとのコラボを果たしつつ、「シャギーの新作にシズラといっしょに参加したんだ!」と嬉しそうに話す。「ジャマイカのシーンに気を配りながら、自分の作品をクロスオーヴァーさせるのが大事」とマーケットと自分の立ち位置を冷静に把握する一方、トラックの交換だけだったビヨンセや、“Umbrella”のレゲエ・ミックスに参加したリアーナに「早く会ってみたい」とか言っちゃう素直な24歳だ。「貧しい育ちではないけど、音楽で食えなかった時に親を頼りたくなくて工事現場で働いたこともある」との共感度指数120%の発言も。みずからのミッションがわかっている人間だけが書ける、血が通ったリリックも要チェック。レゲエが世界中に生活レヴェルで浸透した昨今、彼のような才能の出現を予想も期待もしていたけれど、実際に出てくると感激する。カリー・バッズのおかげで、今年の夏はおもしろくなりそうだ。
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掲載: 2007年07月19日 16:00

更新: 2007年07月19日 17:47

ソース: 『bounce』 288号(2007/6/25)

文/池城 美菜子