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インタビュー

TUM TUM

喰うか喰われるか──ダラスのシーンで暴れ回る猛者が、いよいよ全国区へと打って出る!!


  テキサスのヒップホップならヒューストン産がベスト、と即答できたのも今は昔。ダラスのヒップホップ・シーンがここ数年でグングン発展を遂げていることは、本誌でも紹介したDJ PRINCESS CUTの活躍ぶりからも窺えたはずだ。そして、彼女が手掛けたダラス勢による地元レペゼン・ポッセ・カット“Dallas Mic Pass”にも名を連ね、いまや同地でもっとも有望視されている注目ラッパーこそ、ここで紹介するトム・トムである。

 「ヒューストンのサウンドは凄くスロウでラップも流れるようだけど、ダラスの音はもっとアグレッシヴなんだ! フロウもそれに乗せてるから、聴いていてガツンとくるんだよ」。

 自分たちの熱いスタイルをそのように説明する彼は、昨年のミックステープ仕様盤『Tum Thousand And Six』を経て、このたび『Eat Or Get Ate』でメジャー・デビューを果たしたばかりだ。ただ、一足先にメジャー侵攻を果たしたビッグ・タック同様、彼がダラス最強のクルーと賞されるDSRでスキルを磨いてきた地下世界の顔役であることを忘れてはいけない。

 「DSRはダウン・サウスのウータンだな。みんな違うスタイルを持った良い仲間だけど、マイクを持ったら全員がライヴァルになるんだ」。

 『Eat Or Get Ate』にはそんな好敵手たちに加えて、交流の深いヒューストンのトレイや、ジム・ジョーンズ、スコット・ストーチ、マニー・フレッシュといったメジャー作品らしい名前も並ぶ。しかしながら、基本は地元のトラックメイカーたちが用意したダラス流儀のビートをガシガシと喰い散らかす超バンギンなトラックが中心だ。「俺が伝えたいのは、ただの悪ガキがどうやって有名になり、どんなことを感じているかってことさ」と格好いいことを言うこの男は、今後もさまざまな障壁を喰い破りながら、アグレッシヴにシーンをサヴァイヴしていくに違いない。(協力/Masso 187um)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年07月26日 20:00

ソース: 『bounce』 289号(2007/7/25)

文/出嶌 孝次