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インタビュー

Paramore


 一組のロック・バンドがさらに大きな舞台を求めて羽ばたいた。彼らの名はパラモア。テネシー州はナッシュヴィル近郊のフランクリンで生まれた4人組だ。

「私たちはエモやポップ・パンクのジャンルに入れられることが多いけど、ある特定のシーンに属しているとは思っていない。いろいろなタイプの音楽をやっているつもりよ」と語るのは18歳の紅一点シンガー、ヘイリー・ウィリアムズ(以下同)。

 パラモアの結成は2004年。ジョシュとザックのファロ兄弟がヘイリーをバンドに誘ったことが、そもそもの始まりだった。

「ザックと初めて会った日に〈弟とバンドをやっているんだ。CDを作ったから聴いてくれよ〉って言われたの」。

 当時、彼女は15歳。ノー・ダウトのグウェン・ステファニーに憧れる、どこにでもいるごく普通の……いや、きっとその頃から輝いていたに違いない。ライヴ、デモ制作と精力的に活動を開始した彼らは、フォール・アウト・ボーイやアカデミー・イズを輩出したフェルド・バイ・ラーメンと契約し、2005年7月にアルバム『All We Know Is Falling』でデビューを飾る。ちなみにレーベル・オーナーのジョン・ジャニックは、ライヴを一度観ただけでパラモアと契約することを決めたそうだ。

 その後、バンドは〈ワープト・ツアー〉〈テイスト・オブ・ケイオス〉〈バンブーズル〉といった大規模フェスに出演。あっという間にアメリカ、そしてイギリスで磐石なファン・ベースを作り上げてしまった。そんな彼らが、このたび2年ぶりとなるニュー・アルバム『Riot!』を完成させた。

「怒りがあって、正直で、直球なアルバムよ。そして大胆であると同時に、とても希望に満ちているの」。

 エモ色が濃かった前作から一転、スピード感と力強いメロディー、そして赤裸々な感情表現に満ちたこのアルバムはさらにモダン・ロックに接近している一方で、例えば今様の女性シンガー・ソングライター風な“When It Rains”やピアノ・バラード曲“We Are Broken”に顕著なように、ポップな味つけも加えられている。彼らがメインストリームに狙いを定め、ポップ・パンク/エモという範疇を越えて、これまでよりも多くのリスナーに聴いてもらえる作品をめざしたことはあきらかだろう。

「ポップと思ってもらえるのは大きな誇りよ。メロディーがパワフルでしょ!? 私たちはバンドの姿をしっかりと反映した、死ぬまで誇りに思えるアルバムを作りたかっただけ。ファンといっしょにここまで成長してきたから、プレッシャーなんて感じなかったわ。もちろん自信もあった。意識したのは、自分たちらしさから離れずに、でも同時に心地良い場所からあえて飛び出して新しいことに挑戦することだった。そして、それを成し遂げられたことにいま大興奮しているの!」。 

 すでに『Riot!』は全米チャート20位に喰い込むヒットとなり、ヘイリーはグウェン・ステファニー、アヴリル・ラヴィーンに続く、ティーンのポップ・アイコンになりつつあるようだ。

「すごくクールな……責任よね(苦笑)。すごいことかもしれないけど……う~ん、あまり考えないことにするわ。だって、誰かのお手本やアイドルになるなんて、荷が重すぎるもの(笑)」。

 ロック・シーンの頂点をめざすパラモアの快進撃は、まだ始まったばかりだ。9月には再来日公演も決定。前回よりもひと回り成長した姿をこの目で確かめたい。

PROFILE

パラモア
ヘイリー・ウィリアムズ(ヴォーカル)、ジョシュ・ファロ(ギター)、ジェレミー・デイヴィス(ベース)、ザック・ファロ(ドラムス)から成る4人組。2004年、ファロ兄弟を中心にテネシー州はフランクリンで結成。地元を中心に精力的なライヴ活動を展開する。フェルド・バイ・ラーメンのオーナーであるジョン・ジャニックが彼らのステージに惚れ込み、2005年に同レーベルからデビュー・アルバム『All We Know Is Falling』をリリース。2006年に入るとシンプル・プランをはじめ多くのバンドの前座に抜擢される。着実にファン・ベースを築いていくなか、2007年6月にセカンド・アルバム『Riot!』(Fueled By Ramen/ワーナー)を発表。9月5日にその日本盤がリリースされる。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月20日 13:00

更新: 2007年09月20日 16:54

ソース: 『bounce』 290号(2007/8/25)

文/山口 智男