クリームチーズオブサン
甘い妄想をグルグルと渦巻かせながら、超ユニークなポップ・ワールドを作り出す大阪の7人組のニュー・アルバムが完成!!
クリームチーズオブサン――そのグループ名からもなんとなく窺えるような、スウィートでうららかなポップスを奏でる大阪発の男女混成7人組である。ソングライティングを手掛ける原田茶飯事(ヴォーカル/ギター)を中心に、アコーディオン、エレクトリック・ギター、フルート、ベース、キーボード、ドラムスの構成から成る彼らの音楽スタイルは、ともすればオシャレと言われそうな風合いを感じさせるものだが、そもそもグループ名の由来にも繋がっているフランク・ザッパやブラーといったアーティストに共感していたという原田が大黒柱だけに、アレンジや詞、メロディーメイクにはパッと聴きのイメージとは裏腹な毒々しさをしばしば感じさせる。
「顔で笑って心で泣いて、みたいな、ちょっとピエロ的要素があるというか。僕、びっくりするぐらい女の子にフラレたり、結構切ない過去を背負ってるんですよ(笑)。でも、転んでもただでは起きひんというか、僕ほど悲しみをプラスに転じてる人間はいないんちゃうかな?って思うんですよね。そういったことが全部楽曲のアイデアになったりするし、経験したことを歌うから、おのずと魂が入ったりするんですよ」(原田:以下同)。
そんな独特のセンスをより豊かに実らさせたのが、このたび届けられたセカンド・アルバム『クリームチーズオブサンの碧い果実』。遅ればせながら〈夏〉をテーマにしたという本作には、陽気におどけたポップ・チューンもあれば、涼しげなボッサや清涼感漂うハーモニー、憂いを帯びたセンティメンタルなナンバーなど、夏の想い出をドラマティックにプレイバックさせるサウンドスケープが大胆かつ繊細な筆捌きで描かれている。
「夏の感じってね、なんか好きな世界で。空は晴れていて、海もきれいで、みんな笑ってるのに、なんか自分だけやるせないみたいな気持ちだったり、あの夕暮れの雰囲気だったり。僕、ろくな夏の想い出がないんですけど、それだけに〈あこがれ〉みたいなものがずっとあって、それが作風に出てるんですよね。歌詞に関しても……僕が好きだなって思えるのは、自分自身を重ねられる曲。失恋の曲でも、恋をしてる曲でも、なにかを待ってる曲でも、そのときの自分に重ね合わせられた曲っていうのは、ずっと想い出の曲なんですね。自分たちの曲も、いろんな人が聴いてそういう気持ちになりやすいような言葉選びを心がけて作ってます」。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2007年09月27日 04:00
更新: 2007年09月27日 17:30
ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)
文/久保田 泰平