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インタビュー

スティーヴ・ヒレッジの歩みと共に確認する、ゆらぎ音楽の今昔

 マウンテン・オブ・ワンやマップ・オブ・アフリカといったバンド、あるいは瀧見憲司のようなDJたちによって、60's~70'sのサイケ~プログレ~クラウトといったロックとクラブ・ミュージックとの距離感は一気に縮まった。というか、距離があろうがなかろうが、文脈ではなく音像そのものを結び目としてドロドロに融和し合っていると表現したほうが近いだろうか。ここでは、そんな時流をひとりで体現する存在ともいえるヒレッジの過去作をピックアップしつつ、共通する音像の作品を紹介してみよう。
(酔鮫)

1. GONG 『Angel's Egg』 Virgin(1973)
ゴングが73~74年にかけてリリースした3部作〈Radio Gnome Invisible〉の2作目で、トリッピーな空気が充満した怪作。さまざまな音色を操るスティーヴのギターも堪能できる。
(青木)

2. STEVE HILLAGE 『Fish Rising』 Virgin(1975)
実に気持ち良さそうなスティーヴの、ノビノビとした歌いっぷりと自由奔放なギター・プレイが確認できる初のソロ・アルバム。魚もブッ飛ぶほどサイケな要素がたっぷりだ!
(青木)

3. STEVE HILLAGE 『Germany-77』 Voiceprint/WAKYO(2007)
『L』発表後のベルリン公演を収めた、77年の貴重なライヴ映像がDVD化! 涅槃顔でギターを抱え、あっち側と現世を行き来する怪演が格好良い!
(酔鮫)

4. ASHRA 『New Age Of Earth』 Virgin(1977)
マニュエル・ゴッチングを擁するクラウト集団の名作。サイケ・トランスやチルアウトを完全に先取りしたスピリチュアルな波動にうっとりさせられる。
(酔鮫)

5. SYSTEM 7/DERRICK MAY 『Mysterious Traveller』 A-Wave(2002)
意外にも90年頃から頻繁にコラボしていた両者。10年以上に及ぶ交流の成果を収めた本作には、テクノとアンビエントの中間を行くような美しいトラックが並ぶ。
(青木)

6. MIRROR SYSTEM 『Mirror System』 A-Wave(2005)
スティーヴいわく「システム7とは対照的な音を鏡に映したような」アンビエント・プロジェクト。ゆらめくシンセとギターの響きはあまりにも美麗で、心が洗われるようだ。
(青木)

7. THE ORB 『The Dream』 The Orb/TRAFFIC(2007)
盟友のユースと久々に合体した最新作。レゲエやダブの味付けも効いたアンビエント~チルアウトな作風は多くのファンが待ち望んだもの。スペイシーでサイケなトリップ感もバッチリ!
(青木)

8. ゆらゆら帝国 『空洞です』 ソニー(2007)
もはやドラッギーですらない、がらんどうのプラスティック・ソウル盤。一周してドアーズや初期ディープ・パープルに近付いたような夢遊感が美しい。
(酔鮫)

9. A MOUNTAIN OF ONE 『A Mountain Of One』 10 World(2007)
マップ・オブ・アフリカと並んでクラウト、じゃなく玄人ウケしそうなUKバンドの話題作。緻密な垂れ流し感覚にクラクラです。
(酔鮫)

10. RAJA RAM 『The Anthology』 T.I.P. World 
69年にサイケデリック・バンドで活動を開始し、その後はトランスからアンビエントまでをフォローしつつ、いまも現役のラジャ・ラム。スティーヴともダブる彼の歩みは、全キャリアを網羅したこのベスト盤でチェックを!
(青木)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年10月25日 00:00

更新: 2007年10月25日 17:42

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/青木 正之、酔鮫

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