『たであい』と同じ香りのするフェイヴァリットなヴォーカル・アルバムを、青柳拓次がセレクト&解説!!
BRIDGET ST. JOHN 『Ask Me No Questions』 Dandelion/Cherry Red(1969)
女性ヴォーカルのなかでもギターが非常に心地良くて、自然にすーっと歌ってる人です。以前観た野外のライヴでは外の喧騒や鳥の声も伴奏にして歌っていたのが印象的でした。かつていっしょに日本でツアーをしたことがあるんですが、彼女の歌そのままに優しい人柄で、ライヴもすべて感動的でしたよ。
GEORGE COLEMAN 『Bongo Joe』 Arhoolie(1969)
改造したドラム缶を叩きながら、歌ってるオジさん。いわゆるリズムと音だけ。『たであい』では僕が木魚を叩いて歌ってる曲(“詩をみつけたとき”)があって、もしかしたらこの人の影響かも(笑)。中に砂を入れたスティックをシェイカーとして使ったりして、プリミティヴなオルタナという感じです。
DORIVAL CAYMMI 『Caymmi』 EMI Brasil
この編集盤はほぼギターと歌のみで演ってます。彼はブラジル人ですがいわゆるボサノヴァではなく、アルペジオとかストロークがよりアフリカンっぽい弾き方で、その上に太い声によるきれいなメロディーが乗る、というスタイル。海をすごく感じさせる人ですね。実際に船乗りみたいですが。
高田 渡 『ごあいさつ』 キング(1971)
僕は詩が好きで、いろんな国の詩を読んでるんですが、この人の詩がいいなぁと思ったようなのを、たいがい渡さんは自分の歌にしてたんです。特にこの作品では、ラングストン・ヒューズなどの詩がエッセンスを損なわれずに渡さん流の音楽になっていて。これから詩の世界に入るにはいいアルバムです。
VICTOR JARA 『Victor Jara』 Wea(1966)
チリの歌手。ガット・ギターと歌で聴かせています。彼は70年初頭に政情不安が続いていたチリで、苦境に立たされていた市民を自分の歌で勇気づけてた人なんです。すごく優しく美しい声で歌っていて、フォルクローレなコードにヨーロッパ的なメロディーが乗るというのも音楽的に興味深いですね。
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