インタビュー

モダーン今夜

永山マキのソロ活動~メンバーの脱退を経た待望の新作。バンドの存在する理由を明確にした彼らはとことん前向きです!

 ヴォーカリストの永山マキによるソロ・アルバム『銀の子馬』の発表、そしてギタリスト、ドラマーを含むメンバー4人の脱退。さまざまな状況の変化を経て届けられたモダーン今夜のファースト・フル・アルバム『天気の存在する理由』は、彼らの特性である色彩豊かなアンサンブル――ジャズ、サンバ、ブルース、ロック、ファンクなどを自由に行き来する――がさらにシャープに描き出された作品となった。

「メンバーが減って、寂しくなったって思われないようにしたかったんです。いままでパーカッションをやっていたリャンパイ君(岡部量平)がドラムになったんですけど、それだけでもグルーヴは全然違うし、〈変化した〉ってことも伝えたかったので。リズムもさまざまだから、そこは楽しんでもらえるんじゃないかな」(永山マキ:以下同)。

 ハッピーな雰囲気のソウル・ファンク・チューンに、温暖化をテーマにしたリリックを乗せた“熱帯雨林コーク”など、永山が紡ぎ出す歌の世界観もさらなる広がりを見せている。アルバムの中心を形作る〈何にでも理由がある〉という根源的なメッセージは、長崎の軍艦島から受けたインパクトが元になっているという。

「キーボードのタム君の結婚式で長崎に行ったとき、軍艦島までクルージングしたんです。すべてがコンクリートに覆われた廃墟で、とにかく異様な光景なんですけど、そのときに〈どんなものにも理由があるんだな〉って思ったんですよね。軍艦島の場合は、エネルギー革命や炭鉱の閉鎖。そしてバンドのメンバーが抜けたことも、そこにはいろんな理由があったわけだし……そこで大事なのは、起こってしまったことを悲観するんじゃなくて、変化を受け入れながら前に進むこと。それはアルバムをとおして伝えたかったことでもあります」。

 また、「ソロを経験したことで、メンバーに対する感謝の気持ちが大きくなった」とも永山は言う。7人編成となり、バンドとしての一体感をさらに強めたモダーン今夜。『天気の存在する理由』によって彼らは、自分たちの存在する理由をはっきりと認識したのかもしれない。

「〈やったれ!〉っていうのはありますね。(メンバーが減ったため)ライヴ・アレンジの練り直しだったり、やらなくちゃいけないことがたくさんあるんですけど、気持ちとしてはすごく前向きなんですよ、いま」。

▼モダーン今夜のミニ・アルバムを紹介。

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掲載: 2008年03月06日 23:00

ソース: 『bounce』 296号(2008/2/25)

文/森 朋之