KEVIN MICHAEL
あらゆるカテゴライズをナチュラルにすり抜ける期待の新星がついに日本上陸! 奥の深い音楽性にソウルフルな歌声……個性的なのはアフロだけじゃないよ!!
ネオ・ソウル好きもファンク好きもレゲエ好きも寄っといで~。このボクちゃんがまとめて面倒見てあげるよ~。ってな感じで、ジャンルを越境していくことにな~んの抵抗も気合もなさそうなところが新世代的なケヴィン・マイケルくん、22歳。アフロ頭もなかなかキャッチーな、フィラデルフィア出身のシンガーだ。
「このヘアスタイル? 高3の頃からだよ。最初、編み込みをしたくて髪を伸ばしはじめたんだけど、伸びてきたらカーリーになっちゃってさ。それが、意外に女のコたちからのウケが良くてね。それ以来、ずっとこう」。
父親はミュージシャンでファンク好き。母親もしょっちゅうラジオを聴いていたので、ケヴィンも子供の頃から音楽漬けで育ち、何でも歌っていたそうな。
「ラジオでかかってる曲はみんな歌ってたな。歌うとママが嫌がる曲もあったけどね。2ライヴ・クルーの“Me So Horny”とか。そりゃ、子供が歌っちゃマズいよね(笑)」。
影響を受けたアーティストは、プリンスにマイケル・ジャクソンにスティーヴィー・ワンダーに……。
「アイコンと呼ばれるようなアーティスト、流行りに乗ってるんじゃなくて時代に関係なく活躍し続けてるアーティストが好きなんだ。なかでもプリンスは別格。全部自分でやっちゃうところが凄いよね。いちばん好きなアルバム? まあ、月並みだけど『Purple Rain』だな。なぜって、オレのフェイヴァリット・ソングは“Darlin' Nikki”だから」。
オモロイなあ、こいつ。いちばん好きなのが“Darlin' Nikki”だなんて、そのエロさ、信用できる! 分析するなら、王道のなかに異端が居座ってる感じとでも言いましょうか。
「昔っから浮いてはいたよね(笑)。トレンドとかに興味なかったし、みんなと同じことはしなかったから。だから、けっこうハブられてたけど、まあ、自分のやりたいことだけやって楽しんでたよ」。
そういう異端が、流行りモノじゃなくて、ちゃんと時代を跨いでいきそうな音楽を志向しながら作るとこうなる……っていうのが、本国USでは昨年登場したファースト・アルバム『Kevin Michael』。冒頭で書いたようにジャンルをスイスイと横断しているのだが、それら全部が最終的に〈オレ流のソウル~ポップ表現〉としてシッキッと立ち、聴く層を選ばずに届くものになっている。
「オレはいろんな音楽が好きだから、ジャンルに縛られたくないんだ。どれかのジャンルで音楽をやらなきゃならないなんて、そんなの窮屈だよ。だから、もしかしたら近い将来、ロック・アルバムとか作っちゃうかもしれないし。まあ、自分が感じたままを表現していったらこういうアルバムになったっていうか。それをおもしろいと思ってくれる人がいる限りは、このまま自分らしくやっていきたいね。どうしてもオレのアルバムをどっかのカテゴリーに入れなきゃならないのなら、〈ポップ〉ってことでいいよ。だって、ポップ=ポピュラーってことだもんね」。
参加陣がかなり豪華。プロデューサーにワイクリフ・ジョン、クラッチ、ジョナサン“JR”ロッテム、ブラッドシャイらの名前が並び、ゲストにはルーペ・フィアスコやQ・ティップの名前も。とはいえ、決してゲスト負けしてないし、アルバム全体の流れもいい。
「いろんな人といっしょにやってるけど、バラバラな感じにはなってないだろ? もし統一感がなくなってしまうようだったら、オレはやらなかったよ。そこはちゃんと考えて、それなりに統一感を持ったアルバムにしようと心掛けた。曲順もしっくりいってると思うよ」。
根っこは変わり者でも、みんなに愛されたい欲はムチャクチャ強く、多くの人の耳と心に自分の音楽がちゃんと届くことを考えている彼。だから、こんなふうに真っ当かつ純粋な目標を持っていたりもする。
「いまから10年後とかに、若いアーティストが〈誰に影響されましたか?〉ってインタヴューで訊かれて、〈ケヴィン・マイケル!〉って言ってくれたら嬉しいよね。そういうヴォーカリストをめざしてるんだ!」。
▼文中に登場するアーティストの作品を一部紹介。
▼『Kevin Michael』に参加したアーティストの作品を一部紹介。