インタビュー

Yellow Cherry

突き抜けてキャッチーなサウンドが魅力の3人組が放つ、名刺代わりのフル・アルバム。小さな悩みなんて吹き飛ぶゴキゲン盤です!


 青森在住の3人組レゲエ/ヒップホップ・ユニット、Yellow Cherryは2006年4月にメジャー・デビューを果たした3人組。メジャーではなかなか考えられないマイペースなリリースをこれまで重ねてきた彼らが、インディー時代の作品~最新ミニ・アルバム『音楽と笑顔』からセレクトしたナンバーと新曲を含めた初のフル・アルバム『Welcome Home』を発表する。

「インディー~メジャーまでの自分たちの歴史がギッシリ詰まった作品になったと思うので、〈流れ〉を大事にして選曲しました。最後まで一気に聴いてほしいですね! 僕たちはイントロもスキットも大事にしていて、作品と作品を聴き手に上手く繋げる役割と遊び感覚を表現しています」(ヤス、MC)。

 彼らのイントロの特徴は、毎回〈○○チェリー〉と曲名を付けている点。もちろん今作にもイントロ、アウトロ以外に3つのスキットが収録されている。なかでも今作で特に気になったのが“breakチェリー”。これはメンバーが楽曲制作時のある事件について津軽弁で話しているものを引用している。

「〈ポテト事件〉という出来事があって、昔みんなでキャンプに行った時にアールマンが楽しみにしていた業務用のポテトを他のメンバーが全部食べちゃいまして、その犯人探しを必死にしていた彼の姿が可笑しくって。ボクらはお酒をあまり呑まないのでいつもポテトで乾杯っ!なんですよ。その時の話をみんなでしているところをスキットに使ってます。あんまり大したことは話してないので〈ひと休み〉的な意味合いで“breakチェリー”というタイトルにしました」(ヤマ、DJ)。

「アルバム・タイトルにもなっている新曲“Welcome Home”は、一度地元を離れた人に聴いてほしくて。故郷をもっと大切に考えてほしいっていう気持ちから作りました」(アールマン、MC)。

「内容的には過去の作品から最新作まで入っているので〈初期ベスト〉と思われがちなんですが、自分たちの音楽活動はまだ始まったばっかりで、この一枚はあくまでもその通過点。名刺代わりのアルバムって感じですね」(ヤマ)。

 Yellow Cherryの楽曲は、幅広い音楽的知識と天性のメロディーセンスを持った独自のサウンドだ。ヒップホップやレゲエのトラックをベースにした楽曲はどれもキャッチーで懐かしく、また半径5mほどの身近で起こった出来事をリリックにしている。そのためかリスナーの心には親近感が湧き、聴くと温かい気持ちになるような不思議な力を持っている。ギスギスした現代社会のなかでみんなが安らげるオアシスのような存在になるはずだ。

▼Yellow Cherryのミニ・アルバムを紹介。

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掲載: 2008年05月22日 03:00

更新: 2008年05月22日 17:33

ソース: 『bounce』 298号(2008/4/25)

文/両国 太郎