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インタビュー

ketchup mania

ハイペースにリリースを続ける彼らの新作が登場。すべてに納得がいった〈嘘のないアルバム〉を高く掲げて、また新たなステージへ!


  レーベル移籍後、1年間でアルバム3枚というとんでもないスピードで突っ走っているketchup maniaの、集大成にして存在証明。『F・L・A・G』というタイトルにバンドの誇りを詰め込んだ、猛烈にハードでウルトラ・ポップなサウンドが火を噴く痛快作の到着だ。

「1枚目の『U・R・G・E』には〈初期衝動〉、2枚目の『L・O・V・E』は〈アドヴェンチャー〉というテーマがあったんですが、『F・L・A・G』は特に決めてなかったんです。4ピースで、アッパーで、ガールズ・ヴォーカルとは思えないくらいへヴィーで、でもHIROちゃんの声はすごくキュートでキャッチーなのが俺たちの良いところじゃないか?という話を、作る前にしたんですよ。ketchup maniaが存在する意義のあるものを作りたかったんです」(DAI、ギター)。

 というように、彼らに〈女性ヴォーカルを擁するポップ・パンク・バンド〉のステレオタイプを想像すると、痛い目に遭う。「スラッシュ・メタルの影響が大きい」と語るDAIによるギターの凄まじい歪みと斬れ味がリードする過激な音圧は、刺激的な快感に溢れている。

「作り終えた時に、本当はこうしたくなかったんだよな、というものを一切ナシにしたくて。嘘は入ってないです。そういう一枚を作りたかったんです」(YOSEI、ベース)。

「短い期間でどれだけ成長したのかをどう見せようか?と思って、かなりリズムにこだわりました。普通の8ビートでも、違ったパターンを入れてみたりしてます」(WANI、ドラムス)。

「フリッパーズ・ギターや小沢健二の詞が好き」という志向を持つヴォーカル、HIROが描く詞も冴えている。先行シングルとなった、浮気男に強烈な三行半を突きつける“BAD!BAD!BAD!”と女性からの積極的な求婚ソング“PLEASE! MARRY ME!!”の対比のおもしろさ(HIROいわく「女心は複雑」)や、ファンからもらった言葉への返事として書いた“COME ON!!!”の、〈この歌に嘘はないから〉という真摯なメッセージ。パッと聴きは耳に楽しく、よく聴いていくとじんわり胸に沁みる、リアルな感情がギュッと詰まっている。

「3作目ということで、バンドをやってきた自分の、いまだから書ける気持ちは強く入ってます。暗い時にも聴いて元気になってほしいし、元気な時はさらに元気になってほしい。そう思って書きました」(HIRO)。

 今年3月には約3週間に渡るUSツアーを行い、「僕たちのサウンドはアメリカのほうが合うと思う」(DAI)と語るほどの熱狂的な大歓迎を受けたそうだ。バンドはかつてないモチヴェーションの高まりのなか、さらにスピードを上げて次のステージへと突き進んでいる。

「今回のレコ発ツアーでは、さらに僕たちの音楽の輪が広がっていくライヴを見せたいんです。日本でもっと盛り上がらないと、やってきた意味がないですから」(DAI)。

▼ketchup maniaの2007年作を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年06月26日 17:00

更新: 2008年06月26日 18:27

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/宮本 英夫