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インタビュー

nhhmbase(3)

あらゆるパンチが詰め込まれてる

――そういう意味ではパンクな。

マモル パンキッシュですねー。この年になってまたパンクをやるとは思わなかったですよ(笑)。ホントに生々しいな、って。いま聴き返すとやっぱり恥ずかしい。日記を読み返してるような感覚です。〈うわぁ、このときこうだったんだ、自分〉って(笑)。レコーディングって、出来たものがいい作品であればあるほど、後で楽しかったエピソードの方を思い浮かべるんじゃないかな、って思うんですよね。で、これ(新作)もいい作品だとは思うんですけど、うちらは哀しかった出来事の方が思い起こされてくる(笑)。でも、いまのこのメンバーでやる音としては最強のバランスかな、とも思うんですよね。最凶かもしれないですけど(笑)。ある意味、話題盤ですよ(笑)。大問題作(笑)。前作と今作って、真逆の方向で点を打ってるんですよね。だから、ある意味ではネハンの面ができたから、次はどういうふうに立体的に聴かせるか、っていうところを考えていかなきゃならないですね。いままでは〈完璧な状態の音源を出す〉っていうひとつの考え方しかなかったんですけど、それが完全に振り切れた。理想像じゃなくてもいいんだ、って。

――そうですね。今回の作品にはいまのnhhmbaseの良さが目一杯に詰まってるから、そういう音を記録できてよかったんじゃないかな。

マモル もう、あらゆるパンチが詰め込まれてる(笑)。っていうか、パンチがキツイっスよね(笑)。10代の子たちが聴いたら「ええっ!?」って思いますよ、これ(笑)。

――パンチは本当に効いてる(笑)。〈このジャンルが好きな人ならドンピシャだよ〉っていうんじゃなくて、〈このジャンルのこういうところが好きならハマるかも〉っていうピンポイントな要素がたくさん散りばめられていて……だから振り幅が広いんだけども、ちゃんとわかりやすいポップ・ミュージックとして成立している。

マモル リスナーの想像力に委ねるとこが大きいアルバムかな、って思うんですよ。問題提起でしかない。ホント、純粋にパンクかな、っていう(笑)。ファッション性とかまったくないパンクですけどね(笑)。

――そんな今作ですが(笑)、10曲目のあとに数十秒の〈+α〉(=11曲目の“波紋クロス(本編)”)がありますよね? その意図はどういう?

マモル 波紋がクロスするタイミングって、一瞬じゃないですか。自分と他人、自分と社会が波だとして、波同士がぶつかると、盛り上がって一瞬大きくなる。その一瞬にかけたいな、っていう願望が自分のなかにあって。“波紋クロス(本編)”も、一瞬ですよね? 転調したり変拍子使ったりとかして、10曲分、40分ぐらいかけて面倒くさいこと言ってきてるけども、その最後の20秒間で一瞬、波紋が重なって、またイントロに戻っていく。円を描いてるでもないですけど、他者と繋がってく感覚というか……波が盛り上がる瞬間が起点となって、何かが生まれていく感じ。“波紋クロス”に〈波紋クロス/交差する/潜水して機を待つ/その水面にて歌う〉っていう歌詞があるんですけど、ホントにその水面のとこで待ってるんですよ、自分が。隙を窺ってる感覚なんですよね。nhhmbaseが波紋を呼んで、相手(リスナー)が盛り上がった瞬間に「来たー!」って波に乗れていければいいかな、っていう。そういう自分の願いも含めつつ……逆に、自分の願いしか入ってないぐらいの感じで(笑)。だから、歌詞のこと説明するの、恥ずかしいんですよね。裏を返すと、10曲全部「売れたいんだよ!」みたいなことしか言ってない(笑)。それを、どう変化球を使ってみんなに悟られないようにするかなんです(笑)。

A&R・畠山氏 すごいインタヴューだな、今日は(笑)。

マモル あまりにも濃すぎますかね(笑)? いろんな意味で濃いアルバムなんです、これは(笑)。

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カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2008年07月03日 18:00

更新: 2008年07月03日 18:56

文/土田 真弓