こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

UJT

bounceが誇る人気4コマ連載〈マンガDROP!〉の100回突破を記念して、作者の素顔に迫ってみよう!


「最初から〈マンガ○○〉にしたいなと思っていて、○○の部分を考えてたら昔やってたTV番組〈まんがチョップ'84〉というのを思い出して、じゃあ〈マンガKICK〉にしようかなと。でもそれじゃ語呂が悪いから、ドロップキックから発想して〈DROP!〉になりました。〈DROP!〉は作品を投下するという意味もあって気に入ってます」。

 突然ですが、99年にbounceで始まった4コマ連載〈マンガDROP!〉が、100回目を迎えました。そこで作者のUJT先生に突撃取材を敢行し、謎に包まれた(?)彼のキャリアを暴いてみたいと思います、まずは、マンガを描きはじめた頃の話から。

「子供の頃から絵を描くのが好きでしたね。担任の先生が〈これ使っていいぞ〉って藁半紙をくれたほど。オリジナルのマンガも描いてました」。

 そして完成した6Pほどの作品を、UJT少年は実際に小学館に持ち込んだというから、その行動力には驚かされるばかり。

「いま考えるとすごく迷惑だったと思いますが、コロコロコミック編集部の平山隆さんが原稿を見てくださいまして。もちろん絵なんか全然ダメなんですけど、すっごく丁寧に教えてくれたんです。それこそ道具の使い方からストーリーの組み立て方まで。マンガ家という職業に異常に憧れていましたね」。

 マンガ家人生としてはこれ以上ない順調な滑り出し! しかし、成長するにつれて少年の興味は別の方面へと向かってしまうのです。

「高校に入ると今度はディスコで遊ぶのが楽しくなっちゃって。で、ブレイク・ダンスも知るわけです。映画〈ワイルド・スタイル〉の衝撃もすごかったですが、その前に〈フラッシュ・ダンス〉を観て、ロック・ステディ・クルーのワンシーンに釘付けになりましたね。あそこで流れる“It's Just Begun”って曲があるじゃないですか? あれが聴きたくて〈フラッシュ・ダンス〉のサントラを買たんですけど、入ってなくて。あの時は泣いた!」。

 友達と体育館でバックスピンやムーン・ウォークの練習に励む傍ら、いとうせいこうやTINNIE PUNXのラジオ番組を通じて本格的にヒップホップにハマっていったそう。そのTINNIE PUNXのイヴェントや、ハービー・ハンコック“Rockit”などでDJに興味も持ち、ほどなくしてUJT青年はDJ活動を開始します。

「88年からDJゴング・ショウに出たり、 友達とラップ・グループを組んでイヴェントでDJしてました。後に有名になるDJやラッパーが、同じような場所にいっぱい集まっていたんです。自分はとにかくDJの技を研究してて、気に入ったレコードは2枚ずつ買うから金がかかってしょうがなかった。バイトもたくさんしてました」。

 あれれ? 肝心のマンガのほうはどうなったんですか?

「DJ活動に夢中になりつつ、同時にちょっとずつですがまた描きはじめました。友達が作っていたフリーペーパーに4コマ・マンガを載せてもらったりしましたね。藤子不二雄A先生の〈まんが道〉を何度も何度も繰り返し読んだのもこの時期です」。

 大学卒業後、一度は編集プロダクションに就職するも1年足らずで独立。そしてフリーで編集デザインなどを行いつつ、ひょんなことからYOU THE ROCK『ザ・グラフィティロック'98』のブックレットにマンガが採用されることに。

「旧友のTPfXさんの誘いでブックレットに参加しました。マンガの仕事がくるようになったのはそれからですね。bounceでの連載の話は、当時編集をされていたスマーフ男組のマジアレ太カヒRAWさんからいただきました。猛烈に感謝してます!」。

 そんなこんなでスタートした〈マンガDROP!〉。「常にフレッシュに!」をモットーに、旬の人から懐かしの人まで引っ張り出してみんなをニヤけさせてくれるこの4コマを、毎月楽しみにしている方も多いのではないでしょうか!?

「アイデアはよく浮かぶんですけど、描く前にボツにしてるものも多いです。エンヤFeaturing TOTOで〈エンヤ~トット~〉とか(笑)。TOTO解散しちゃったから実現しないだろうけど。まぁ、そんな感じのものを鉛筆で下書きして、ペン入れして、スキャナーでPCに取り込んで色付け、という行程で作ってます」。

 ちなみに、UJT先生はペン先に墨汁をつけて描くかぶらペンを愛用。何でも「オールド・スクールなスタイルを大事にしたいから」とのことで、あの温かみのあるタッチはこんなこだわりがあってこそ、生まれ得るものなのでしょう。

 最後に〈ファンの方へ一言!〉と投げ掛けてみたら、「いつもありがとうございます! としか言えないっす」なんて照れ笑い。年内にはコミック最新刊の発表を予定しているなど、今後も〈マンガDROP!〉と併せてUJT先生から目が離せませんよ!

▼UJTのマンガ&イラストが使用されている作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年07月17日 01:00

更新: 2008年07月17日 18:30

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/bounce編集部