思わず身体が動き出す、レベルでコンシャスな楽しいミュージックをご紹介!
M.I.A. 『Kala』 XL(2007)
内戦下のスリランカで難民として育った女性MCというだけで強烈な個性を感じるが、彼女の魅力は反逆の歌を眉間に皺を寄せてパフォームするのではなく、ビカビカのベース音楽に乗せて楽しく聴かせてくれる点。ハッピーなヴァイブこそが世界を動かすのだ!
GOGOL BORDELLO 『Super Taranta!』 Side One Dummy(2007)
チェルノブイリの原発事故に遭遇し、その後の難民キャンプ生活を通じて自身のルーツであるジプシー音楽に目覚めたというヴォーカルのユージン。そんな彼が舵を取る多国籍ジプシー集団の奏でる陽気なパンクも、フリーダムな雰囲気がムンムン!
ZAP MAMA 『Supermoon』 Heads Up(2007)
『All Re-bel Rockers』にも参加しているマリーは、社会一般に蔓延する間違った価値基準を女性ならではの言葉ではね除ける人。そもそも彼女にソロ転向を薦めたのがマイケルというくらい2人の親交は厚く、本作でも和気藹々とした早口デュエットを聴くことができる。
MANU CHAO 『La Radiolina』 Radio Bemba/Because(2007)
反グローバリゼーションを掲げながら、ヨーロッパ産ミクスチャー(混血)音楽の最先端を走る彼の最新作。いつも以上にロック色を増したこのサウンド・アタックに、ぶっ飛ばされないなんて嘘でしょ? なお、CDとしての音源発表は、わけあってこれが最後とのこと。
ASIAN DUB FOUNDATION 『Punkara』 Rinse It Out(2008)
〈9.11〉以降に続いた打ち込み主体のダークなサウンドから一転、彼らが本盤で試みたのは生のビートにこだわって、バンドの原点であるパンクとバングラを激しく激突させた音のテロルだ。でも、こっちのテロで流れるものは血じゃなくて汗ね!
DEVOTCHKA 『A Mad & Faithful Telling』 Anti-/Epitaph(2008)
シチリア人とジプシーを祖父母に持つニック・ウラタが結成した、コロラド発の4人組ロック・バンド。とりわけ、US主導の資本主義経済に楯突くウェスタン調の冒頭曲をアナログ楽器のみでワイワイ演奏し切る姿は、レベル・ロッカーと呼ぶに相応しい。
G.LOVE & SPECIAL SAUCE 『Superhero Brother』 Brushfire(2008)
スピード重視の現代にアンチを唱えるスロウ・ライフ音楽界の重鎮が、久々にバンド名義で発表したグルーヴィーな新作。リオデジャネイロのスラムから受けた衝撃を綴ったナンバーや、次期リーダーへ疑問を投げ掛けた表題曲(大統領予備選中に制作)といったコンシャス・ソングも楽しく聴かせてくれる。