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インタビュー

WRENCH

創作意欲がノンストップ状態!な彼らを、さまざまな方向から楽しめる新作が登場。活動15年以上を経てもまだまだ遊び続けます!


  「16年もバンドをやっていると、調子の良い時と悪い時の波があるんですよ。だから作品を出せる時、出したい時に素直に出しておこうと思って。生まれない時は何も生まれないですからね」(SHIGE、ヴォーカル/キーボード/シーケンス)。

 3年ぶりのオリジナル・フル・アルバムとなった前作『nitro』と、それからたった10か月ほどのインターヴァルでリリースされた新作『drub』について尋ねると、このような答えが返ってきた。

「『nitro』は本当に、自分たちのテンション全開で作った熱い作品だったんですよ。レーベルも事務所も変わって、心機一転という意味もあったし。でも今回はそういった路線ではなく、もう少し落ち着いた感覚で作品を出そうと思って」(SHIGE)。

 まるでデビュー・アルバムのような熱さと激烈な勢いがパッケージされた『nitro』で、WRENCHは文字どおり〈覚醒〉した。しかも3年ぶりの覚醒がもたらしたバンドの創造力は、アルバム一枚では収まりきらなかった、ということのようだ。

「自分たちにとっても、『nitro』にはすごい達成感を感じているんですよ。だからこそ、よりこのアルバムから得たものを広げたいと思ったし、リスナーにも自分たちがやっていることを示したいと思ったんです」(坂元東、ギター)。

『drub』は〈新曲〉〈『nitro』収録曲のリミックス〉〈アーティストとのコラボ〉と、3つの要素をひとつにまとめ上げる形で構成されており、このバンドを多面的に楽しめるような遊び心がたっぷりと封入された作品だ。

「最初は〈まだ新曲作りたいからミニ・アルバムを出す?〉なんて話と、〈『nitro』のリミックス集も出したいね〉なんて話があって。そうしたら〈コラボもやりたい〉なんて欲も出てきた。それが一枚にまとまったような感じです」(松田知大、ベース)。

「参加してくれたアーティストは昔から知っている仲間だったりとか、コラボすることを考えた時にすぐさま顔が浮かんできた人です。(浅野)忠信とは今回いっしょに曲を作っていて、セイジさん(ギターウルフ)とのレコーディングでは、WRENCHがセイジさんのバイクに4ケツして、環七を突っ走ってる感じですよね(笑)。素晴らしいアーティストたちと一枚の作品を作れたということが、いま最高に幸せです」(SHIGE)。

 そしてこのたびニュー・アルバムと同時にリリースされるライヴDVD「NISTORY」は、94年から最新ツアーまでの名ライヴを映像で辿るアーカイヴ。この作品もいまだからこそ出せたと語る。

「いまになってようやく90年代の映像も恥ずかしくなく観れますね。ホント、顔がツルツルなんですよ(笑)。いまWRENCHのライヴに来てくれている若い子たちって、この頃の俺たちを知らないと思うんです。90年代中期っておもしろいバンドが本当にたくさんいて、その時の空気感とかも楽しんでもらえたら嬉しいですね」(SHIGE)。

 そして今年は待望だった〈フジロック〉へも参戦! 大自然のなかで七色に輝くトルネードのようなグルーヴが体感できるのだ。

「このタイミングでリリースした理由には、やっぱり〈フェスに出たい!〉っていうのもあって(笑)。だから凄いものを見せますよ。早くやりてぇ~!」(MUROCHIN、ドラムス)。

「〈フジロック〉から先のことは、いまはまったく考えられないです。『nitro』と『drub』は一曲一曲作るのが本当に大変だったから、次に作るものに関してはまたまったく新しいページをめくることになると思うんです。その代わりいまはもうスッカラカンですよ(笑)」(SHIGE)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年08月07日 02:00

更新: 2008年08月07日 20:00

ソース: 『bounce』 301号(2008/7/25)

文/冨田 明宏

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