SPARTA LOCALS
新たなメンバーの加入で吹っ切れた〈真面目すぎる〉心。胸のつかえが取れた途端、有無も言わさぬ傑作が出来上がったぞ!
どこがどうカッコイイのかなんて考える前に、鳴った瞬間まず身体が反応し、そのコンマ数秒後に思わず〈うひょ~っ!〉という感嘆の声が漏れる――SPARTA LOCALS、通算7枚目のアルバム『Leecher』は、そのぐらいどうしようもなくシンプルな言葉で讃えたい作品である。
「わかりやすいっすよね、このアルバムは。作りはじめる前にメンバーと〈どういうものにする?〉って話し合って……いままでそんなことしなかったんですけど(笑)。で、なんか〈ざわざわした感じ〉にしたいよねって。それで僕はフェイクに命を懸けました(笑)。フェイクでどれだけ笑わせられるかって(笑)。それってどうでもいいことなのかもしれないですけど、レコーディングの時にみんなが笑ってたっていう記憶はミックスの現場にも反映されるんですよ。そういうところも含めて、全員が楽しもうよっていう気持ちでやったから、歌詞のヴェクトルが〈怒り〉だったりしても聴いた後にすごく爽やかだったり、楽しかったっていう印象を残せてるんじゃないかな」(安部コウセイ、ヴォーカル/ギター:以下同)。
ただ〈ざわざわ〉、ただ〈笑って楽しもう〉と言ったところで、それをうまくシビレる音として形にするのは極めて難しい。それがここまで劇的に具現化できたのは、昨年夏から正式ドラマーに迎えられた梶山剛の存在が大きいようだ。
「もっとこうやればイイんじゃん?とか、ちょっと真面目すぎるんじゃない?とか、そういうところに対して的確な意見を提示してくれるんですよね。〈真面目すぎる〉っていうことに関しては自分自身ずっと悩んでいたことで、なんでオレは音楽となるとこんなに真面目になっちゃうんだろう? ホントはもっとポップな人間なんじゃないの?って(笑)。そういう意味では、剛が入ったことでつっかえていたものがなくなったし、そういう部分は今回の歌詞にもすごく表れていると思いますね」。
梶山のほかにも、プロデューサーにはteの河野章宏、エンジニアにはナンバーガール仕事で知られる斉藤匡崇&上條雄次と、新しい血を入れたことによって生じた好転反応は予想以上だ。
「昔っからプロデューサーとか立てたくねえなっていう気持ちがあったんですけど、そういうことを気にするのってちっちゃいと思うようになったんですよね。アルバムには剛が書いた曲が半分あって、1曲目から彼の曲が入っているんですが、それに対して〈なにそれ!?〉って言う人もいるかもしれない。けど、SPARTA LOCALSとして何をやってるかっていうのが重要なわけで。いままではこうだった、ってことを考えながら行動すると、なにもおもしろくないでしょ?」
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2008年08月14日 00:00
更新: 2008年08月14日 18:02
ソース: 『bounce』 301号(2008/7/25)
文/久保田 泰平