6eyes
マイペースに自身の音楽に磨きを掛け、初のフル・アルバムを完成! 6つの目が見つめていたのは純粋にアツくなれる音楽、ただそれだけ
サード・アイだとかシックス・センスだとか、言い回しとしてスピリチュアルな色合いが強くなっちゃうと途端に胡散臭くなってしまうのがアレなんだが、要は周りに蠢く情報やら風説に惑わされずに、自由に踊れる〈直感〉を研ぎ澄ませているかどうかってことが大事なんだ。ここに紹介する6EYESのバンド名の由来を詳しくは知らない。その6つの目は、それぞれ異なる方向に視線を向けているが、視界と視界が重なり合う部分には、得体の知れない何かがくっきりと浮かび上がってくるかのようだ。かつてクラッシュが体現していた、ロックンロールもパンクもレゲエも関係なく、自分たちにとってアツくなれて踊れる音楽とは何かという大命題に、2008年の6EYESは挑んでいる。
「メンバー全員、クラッシュの音楽に対する自由な姿勢には強く影響されています。それに限らず、いまどきのミクスチャーみたいなのとは違って、雑多な音楽性をいろいろ織り交ぜられているのがすぐには気付けないような、上手くバンドの色に染め上げているグループが好きですね」(土屋主税、ヴォーカル:以下同)。
地元・名古屋でバンド活動をしていた土屋が、ギターの堀祐一とドラムの桑山孔孝を誘ってセッションを始めたのが、バンド結成のきっかけとなる。当初はベースレスでインプロヴィゼーションを主体としたロックをやっていたが、ベースの松田浩一郎が加わってから、現在のようなスタイルへと変化していった。
「例えば〈バッド・ブレインズとドノヴァンがいっしょに作ったような曲で、さらにそれをダブにしよう〉とか抽象的なテーマだけを掲げてジャムを始めて、出来たら完成。出来なかったらボツ。次のセッションの時に忘れててもボツ……という感じで曲を作っていって。 詞に関しては、ほとんど自動書記ですね。何にも考えずに一気に書き上げます」。
土屋いわく「ビヨンセのアルバム『B-Day』をギャング・オブ・フォーがリメイクしたようなアルバムにしようと思って作った」という、6EYES初のフル・アルバム『BLANK IN BLACK』。金属的で冷ややかな響きが闇をつんざくギター、極限まで削ぎ落とされながらも、レゲエやファンクなどの豊穣なリズムを内包しているドラム、無機質な響きが不気味な存在感を漂わせているベース、独特な言語感覚から吐き出されるリリックをバンド・サウンドの上で奔放に踊らせるヴォーカルは、カオスの底から湧き立つエロスを纏っているようだ。
〈黒いところに一点だけ染まっていない空白がある〉という自分たちの現在の状態をアルバム名に託した彼ら。その空白からは、異質なもの同士が衝突した時に生じる、とてつもない熱量を孕んだ閃光が眩く放たれていた。
▼6EYESのミニ・アルバムを紹介。