インタビュー

GLORY HILL

怒濤のデビュー・イヤーを経て、心身共にグンと成長したメロディック・パンク界のホープ。彼らの勢いはまだまだ止まらない!


  いまGLORY HILLが快進撃を続けている。平均年齢22.5歳のこのバンドが今年に入って限定1万枚でリリースしたシングル『DAYBREAK e.p.』『GET UP e.p.』はいずれもオリコン・インディーズ・チャート1位を記録。同時にライヴの動員も右肩上がりだ。
「ツアーというものも昨年初めて経験したんですけど、最初は不安のほうが大きかった。それまで目の前にたくさんのお客さんがいる経験も少なかったし、どんな人が自分たちのCDを聴いてくれているのかもわからなかった。でもCDを聴いて来てくれたお客さんがいる光景を見て、ライヴのあり方を学んでいったんです。ただ、いまの状況には自分たちがびっくりしてるっていうのが大きいですけどね」(TAKUYA、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 メロディック・パンク・シーンのホープとして同世代を中心に人気を得る彼ら。とはいえ、もともと明確なサウンドの指向を持ったバンドではない。メタリックなギター・リフによるハードな曲やファストなパンク・チューン、ドラマティックなギター・ロック・ナンバーもすべて並列にプレイする。言葉は悪いかもしれないが、〈ミーハー気質〉とも呼べそうな軽快なノリや柔軟性をうまく自分たちの音楽に落とし込んでいるのだ。そしてシンガロングできる線の太いメロディーもまた、彼らの真骨頂と言えるのではないだろうか。

「メロコアとかエモとかも知らなかったしね――まあ、知ってたっちゃ知ってたけど(笑)。でもそんなに興味もなく。このバンドを始めたときも方向性はなくて、僕が作る曲をみんなに提示してやっていく形で。ただ、サビはキャッチーに、とか明るいけどちょっと哀愁も漂うような感じがイイ、とかいう感覚だけは4人とも近いんです」。

 そしていよいよセカンド・アルバム『GOING NOWHERE』がリリースされる。前作『LOST GENE-RATION』から1年、この間の加速度的な成長を記した作品だ。ツアーを重ね、会場が一体となる興奮を体感したことで増強されたエネルギーや自分たちの音楽に対する自信が表われている。瞬発力で作ったという前作は前のめりで衝動的な楽曲が多かったが、今作では〈GOING NOWHERE〉――無限の選択肢がある未来に向かうべく、いまの自分たちが持ち得る力を磨いていこうという意志が宿っているサウンドを聴くことができる。ステップアップする彼らのリアルな気持ちやパワーがパワフルな2ビートに、アンセムともなりうるメロディーに託されているため、キッズからの熱い視線をますます浴びることになるはず。

「責任感というのではないけれど、伝えなきゃいけないなっていうのは出てきた。そこに良い意味でプレッシャーを感じているし、楽しめるようになった。たくさんツアーもしつつ、曲を作りつつ活動していくことがずっと求めていたことだし理想だったんです。この1年は2年にも3年にも感じるくらい激動だったけど、いまは良い流れでバンドのモチヴェーションが上がっています」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年09月18日 01:00

更新: 2008年09月18日 17:34

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/吉羽 さおり

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