インタビュー

『Tonight』から薫る音楽のエッセンスと共振する作品を紹介!

 雑多で複合的な□□□の音楽ルーツを断定するのは難しい。けれど、ここでは新作『Tonight』から感じ取ることのできる音楽的要素をいくつか抽出し、その要素と共振する作品を紹介しよう。まずは、小沢健二の『LIFE』以後に発表された数枚のシングル。なかでも“Buddy”以降、サンプリング/打ち込みを意識的に使い出した時期の楽曲を連想する人は多いはず。続いても90年代の邦楽から、サニーデイ・サービスのラスト作『LOVE ALBUM』を。彼らの場合は楽曲の構造云々というより、曽我部恵一の歌へのアプローチが□□□の歌に影響を与えているように思う。また、本作に含まれる〈黒さ〉の要素についても触れておくと、岡村靖幸が2004年作『Me-imi』で見せた現代性の高いファンク感は、本作中盤の流れと呼応している。さらに限定すれば、“Lets Get It On”のぶっといビート&ワンループのコード&呟くようなラップは、三浦の絶対的なルーツとしてあるヒップホップ~R&B、なかでもディアンジェロ『Voodoo』やJ・ディラの姿が。また、“AM2:08”のようなハウス・トラックのスムースさはマスターズ・アット・ワークあたりが生み出すトラックの華麗さと共通するようにも思えるのだ。
▼文中で登場するアーティストの作品を一部紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年09月25日 23:00

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/ヤング係長

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