JENNIFER HUDSON(2)
ライヴァルは自分自身
また、このようにヴァラエティー豊富な作品を作ったことにはもうひとつ、彼女らしい事情があった。
「私の場合、〈アメリカン・アイドル〉で興味を持ってくれた人がいたり映画を観てファンになったという人がいたり、ファン層が幅広くて、世代も人種もさまざまな人々全員を満足させなくちゃならなかったの」。
そしてクライマックスを飾るのは、7歳の時から教会の聖歌隊で歌っていたジェニファーの原点であるゴスペル。その“Jesus Promised Me A Home Over There”は、彼女が「人生最大のインスピレーション源」と呼ぶ祖母の愛唱歌だとか。
「聖歌隊のリーダーだった祖母の歌を聴きながら育ったから、私の声は祖母譲りだと家族はみんな言うし、何か大切なものを引き継いだように感じているの」。
そう語るジェニファーの歌声は流石、たとえ声量を抑えて歌ってもリアルな存在感を強く滲ませ、他の誰とも違う残像を心に刻んでみせる。実際、ここに新人として音楽界に漕ぎ出すにあたって、「既存のシーンの枠組みにフィットしたくないし、むしろはみ出た存在でありたい」と、挑戦的とも謙虚とも取れる言葉を口にしていた。
「ライヴァルは誰よりも自分自身であって、他人と競争してる気がしないのよ。どのアーティストもスペシャルな存在だし、私は自分自身と競うことで自分を高めることができると思っているわ」。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2008年11月13日 06:00
更新: 2008年11月13日 18:04
ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)
文/新谷 洋子、轟 ひろみ