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インタビュー

note native

今年、日本のハウス界に登場した新鋭から早くも2作目が到着した。完全フロア仕様の艶やかなポップ・ミュージックが眩しく光る!


  今年2月にリリースしたファースト・アルバム『Reflect』で、一気に国産ハウス・シーンの第一線に躍り出た田尻知之のソロ・プロジェクト=note native。その新人らしからぬ成熟した色艶を備えた音世界を支えているのは、10年ほど前からシーンに関わってきたという彼のキャリアである。

「もともとはレコード・ショップのバイヤーで、それと並行してDJをやっていたんです。ただ、当時はレア・グルーヴにブロークンビーツを混ぜたりするクラブ・ジャズっぽいスタイルでした。若気の至りで、アッパーな歌ものハウスは格好悪いとすら思っていた(笑)。それが徐々にキャッチーなものの良さに気付きはじめて、ハウスへと傾倒していったんです。同時期にi-depのナカムラ(ヒロシ)と出会ったことの影響も大きいですね。note native名義で初期に手掛けたリミックスには彼との共作もあったりして」。

 そうした経緯と蓄積を経て発表された『Reflect』は、いきなりの好セールスを記録。ハウス・オリエンテッドでありながらポップ・ミュージックとしても機能するサウンドは、多くのリスナーから絶大な支持を獲得した。

「DJやバイヤーとしての経験もあるので、フロアでの反応の良し悪しは判断できるつもりなんです。ただフロア仕様かつポップなものをめざしたので、そのふたつのバランスに悩みましたね。だから結果的に(ファースト・アルバムが)受け入れてもらえたことは、2作目を作るにあたっての大きな自信になりました」。

  こうして、前作の発表からまだ8か月ほどにも関わらず、早くもセカンド・アルバム『Silence & Motion』が完成した。より煌びやかで多幸感たっぷりのメロディーが畳み掛けられる全11曲。前作で得た勢いをそのままに、迷いなく疾走するnote nativeの姿が見て取れる会心作だ。

「今回はエモーショナルな曲が揃ってます。拳が上がる感じというか(笑)。でも、そういう曲を女性シンガーに歌ってもらうことで、すごくポップな手触りになりましたね。最近気付いたんですけど、僕はポップ・ミュージックを作る感覚で制作に臨んでるんですよ。まずサビから作るし、そこをいちばん聴かせたい。クラブ・ミュージック的じゃない部分を作り上げることに楽しみを見い出していて」。

 では今後、純然たるポップスを志向する可能性はあるのだろうか?

「いや、note nativeに関してはダンス・ミュージックであることが大前提。自分がいちばん得意な分野もそこですし。そういう意味で、今回は今後の基準になるような良いバランスのものができたと思ってるんです」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年11月20日 18:00

ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)

文/澤田 大輔