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インタビュー

The John's Guerrilla(3)

次に鳴らすべき音がメンバー全員で一致してる

――アルバム・タイトルの『Seize The Time』というのは?

RYOJI「ブラック・パンサー党(60年代後半~70年代のアメリカにおいて黒人解放闘争を繰り広げた政治組織)の言葉で、〈我々の時代〉〈時を掴め〉という意味があって。The John's Guerrillaはこれがファースト・アルバムで、これから旗を掲げて行動を起こすという意味でもピッタリだったので、タイトルは早い段階で決まってました」

――歌詞は全曲が英語詞ですけど、これは結成最初から?

RYOJI「はい。“Limitless Ze Elo”のポエトリーの部分以外は、全部英語詞です。ヴォーカルが日本語で歌うことに抵抗があるらしいし、僕らも〈歌いたいほうでやりなよ〉という感じですし。もともと僕たち、洋楽ばかりを聴いてきたので、日本語の歌で育ってないんですよ。歌詞を見ないで聴いて、〈何を歌ってるんだろう?〉っていろいろ想像して、後で歌詞を見たら〈おっ、合ってるじゃん〉と思ったり。そういう言葉の壁を超えたロマンみたいなものが好きなんですよね。オアシスの“Live Forever”も〈何かいいこと言ってるんだろうな〉と思って聴いて、後で歌詞を見て〈やっぱりすげぇいいこと言ってる〉と思ったり。その過程が好きですね。ちょっと面倒なんだけど、それを超えた時に得られる感動があると思うから」

――そうですね。

RYOJI「今回はジャケットもおもしろいんですよ。前にcutting edgeから出たコンピ盤『UNDER CONSTRUCTION ~rock'n' roll revival from Tokyo!!』のデザインをした人が、向こうからThe John's Guerrillaの作品をやりたいと言ってくれて、サンプルを送ってくれたんです。それをもとに作ったんですけど、歴史上の人物やミュージシャンの顔がレイヤーで重なってる。深い意味があるので、すごく気に入ってます。アーティスト写真を撮ってくれた人も、ラモーンズの公式カメラマンで、ニルヴァーナやレディオヘッドも撮っていたり、〈サマソニ〉や〈フジロック〉の写真も第1回から撮っていたりする人で、すごく楽しい撮影でした。いいクリエイターの方が集まってくれてありがたいです」


――それはバンド自体に磁力があるからだと思いますよ。

RYOJI「そう信じます」

――今後の活動については、どんな目標を持ってますか。

RYOJI「とりあえずは知名度を上げないといけないですね。それと作品に関して僕が思うのは、10年後20年後も自分が誇れる作品を作っていきたいということです」

KANAME「自分がどこまで行けるかを目標に持ちながら、何十年も音楽をやり続けられればいいなと思います」

RYOJI「最近は、その場だけ盛り上がるみたいな若手のダンス・ロック・バンドがいっぱいいるじゃないですか。ああいうものは、数年後は全然聴けないし、そもそも曲の寿命があるということ自体がおかしいと思うし、そういう曲は絶対に作っちゃダメだなと思います。そういう音楽があることを否定はしないけど、僕らが同じことをやってもしょうがない。普遍的な音楽でありつつ、新しい要素をどんどん入れていきたいです」

――人が何をしているかを、横目で見ることはしないと。

RYOJI「あくまで自分たちの作品中心ですね。流行があったとしても、それは自分たちのなかでの流行で、〈次は絶対こういう音を鳴らすべきでしょ〉というものが、メンバー全員で一致してる。それを信じて鳴らすべきだと思います。だから1年後はまた違う音を出してるかもしれないですけど」

――この作品をどんな人に聴いてほしいですか。

RYOJI「世代は関係なく聴けると思うんですよ。おじさんでも、ティーンエイジャーの子でも。特に若い子には、洋楽のルーツを探って聴くきっかけを与えられたらいいとも思いますね。10年前、僕たちが中学生の時には日本のインディー・シーンが盛り上がってたんですよ。AIR JAM世代のバンドとか、すごいおもしろいと思いました。ああいうイヴェントに行きたかったんだけど、中1だから行けずに終わっちゃったので。ライヴにしろ作品にしろ、そんな風に、ティーンエイジャーに初期衝動を与えられるようなことをやっていきたいと思ってます」

▼The John's Guerrillaの作品

▼The John's Guerrillaがこの春に参加したコンピレーション・アルバムを紹介

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年07月15日 18:00

文/宮本英夫