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インタビュー

VOLTA MASTERS

ヒップホップ~クラブ・ミュージックの……というよりポップスの可能性をさらに広げるサウンドで、今日もみんなを踊らせる!

  「お店の反応を聞くとVOLTA MASTERSを買って行かれるのは20~30代の女性が多いようですし、現場には〈VOLTA MASTERSを観に初めてクラブへ来ました〉という方もいて。もともとヒップホップを聴かない、あまり好きじゃない人たちにもアピールしようと最初に描いていた通り、着実に浸透してきているなと思いましたね」。

 2005年に市川貴裕のソロ・プロジェクトとしてスタートしたVOLTA MASTERS。といっても彼はいきなりDJを始めたのではなく、ギタリストとしてプロをめざすつもりが、クラブ・ミュージックの魅力に取り憑かれていつの間にかターンテーブルを購入(DJ活動は87年にスタート)していたのだとか。現在はプロデューサー、リミキサー、DJ、エンジニアなどさまざまな肩書きを持つが、バンドマンだった過去もひっくるめた最終形がVOLTA MASTERSと言えるだろう。そのVOLTAといえば、日本人の琴線に触れるメロディーやパーティー・ピープルが即反応するフレーズなどをミックスした、いわゆる大ネタ使いの軽快なサウンドが〈売り〉なわけで。

 「柔軟なスタンスは崩したくないので、信条とかを強く持たないようにしてます。いつもヴォーカルのイメージやBPMなどいろんなことを総合的に考えたうえで、パッとひらめいたものを頭のなかで組み立てて形にしていくって感じですね。ターニングポイントは自分のなかで3曲あって、“Decisions Extended Remix”“Mr. Lawrence/Heart Music Remix”、そして“いのちの名前”。これがVOLTA MASTERSの名前を広めてくれたかなと思っています」。

 エリック・サティから〈ドラクエ〉まで――彼のなかでキラッと光ったアイデアを、持ち前の演奏技術とアレンジ力、そしてクラブDJならでは感覚でまとめ上げ、多くの〈偶然耳にした人たち〉を虜にしてきた。そしてこのたび新曲も含めたリミックス・アルバム第2弾『At Work 2』がリリースされる。ツアーを共にしたシカゴの1773からチカーノの人気者ベイビー・バッシュ、説明不要の大物KRS・ワンまで、リミックスという偶然はあるにしても、この一陣の風のようなサウンドに乗るラッパーたちの顔ぶれもなかなかおもしろい。

 「いちばん気を遣ったのはマンネリにならないこと。前作が多くの方に受け入れていただいたので、良い意味で変化していくことは常に念頭に置いています。あとやっぱりビート(キックとスネア)の鳴りは気にします。ベースだったりとか。感覚的にしっくりくるものというか」。

 そんなVOLTA MASTERSの音楽をあえてカテゴライズすると、どんな言葉がしっくりくる?

 「難しい質問ですね……まあ一言でいうなら自分のソウル・ミュージックです」。

▼関連盤を紹介。

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掲載: 2009年08月05日 18:00

ソース: 『bounce』 312号(2009/7/25)

文/二木 崇