BLAKQP'67
ブーガルーやジャズ・ロックを呑み込んだわかりやすくて楽しいミクスチャー・ミュージックで、いっしょに汗だくにならない!?
「押し引きなしのフルスロットル、怒涛の勢い系ハード・バップ」「甘く切ないキャッチーなメロディーが感動的、泣きながら踊るジャズ・ダンサー」などなど。BLACKQP'67のリーダーでマルチ・プレイヤーの中村智由(発言:以下同)は、各曲の聴かせどころをそんな言葉で説明してくれた。中村の所属する今年結成10年を迎えた名古屋のクラブ・ジャズ・バンド、nativeではクールでスタイリッシュな音を追求してきたが、BLACKQP'67では一転、「わかりやすくて楽しいジャズ」をコンセプトに清々しくも痛快なファンキー・ジャズを披露している。
「メンバーに求めるのはテクニックではなく、それぞれの持つ資質と、いっしょに音楽を作るための協調性です。結成前にそれぞれのプレイを聴いてから、いつか彼らと60~70年代のブルー・ノートのようなジャズをやりたいと思って。その年代の雰囲気を出すのには現代的に洗練されすぎていてもダメ。リアルタイムでその時代の音楽を経験していないのに、そんな雰囲気を持っている理想的なメンバーに出会えたんです」。
かくして、ファースト・アルバム『HOT CHASE』が生まれた。レコーディングはプライヴェート・スタジオにて、たっぷり時間を掛けて行なわれたという。
「BLACKQP'67の得意とする曲調に、ジャズ・ロックやブーガルーがあります。以前、ギターのGRANT ENDO、オルガンのTURNER、ドラムスのKAMIYAといっしょにセッション・ライヴを行った際、ジミー・スミスのブーガルー・ナンバー“The Cat”を演奏したら70~80歳のお婆さんたちが突然踊り出して。それを見た時に、ブーガルーやジャズ・ロックは世代を超えて楽しめるものだと感じたんですね。そのセッションが、BLACKQP'67を立ち上げるきっかけにもなりました」。
世代を超えて、誰もが身体を揺らしたくなる音。それを、かつてのジャズの輝きから導き出した中村。では、BLACKQP'67が進もうとする〈今日的なるジャズ〉ってどんなものだろう?
「このバンドでは、60~70年代のジャズから影響を受けたノスタルジックな感覚と、クラブ・ジャズ的な、コンテンポラリーな感覚とが合わさったミクスチャー・ミュージックをやっています。最近は大学にジャズ科ができたり、ジャズがアカデミックに捉えられるようになってますよね? 素晴らしいことですが、そのぶん大衆的でなくなってきてるとも言えて。だからミュージシャンとして楽しむジャズという視点だけではなく、一般リスナーの視点で楽しめるジャズをやることが、ジャズが現代にポピュラリティーを持ち続けるのに必要なことだと思っていますよ」。