インタビュー

Natural Radio Station

聴くだけで元気になれる――そんなレゲエをデリヴァリー! 地元・福岡にドッシリ腰を据えて作った新作で、みんなの心を温めるよ!

  例えば、“CHANGE”のリリック――〈いがみ合っても喜びや幸せなんて決して生まれないだろう/Oh ネガティブの海に溺れんなよ/あんま好きな言葉じゃねぇけど/あえて言うぜ“頑張ろう”〉。シンガーのLico LionとDJの勝男から成る福岡発の2人組レゲエ・ユニット=Natural Radio Stationは、ただ一方的に押し付けるのではなく、また無駄に悪ぶることもなく、リスナーと同じ目線に立って一人一人の心に熱いメッセージを投げ掛ける。このたび完成させた1年ぶり2枚目となるフル・アルバム『CHANGE』でも、そんな等身大の言葉は非常に印象的だ。

「(ふたたびインディーに戻った経緯について)メジャーに移籍して、良くも悪くもスタイルや考え方などいろんなことがめまぐるしく変わったから、ここらでもう一度純粋に自分たちのやりたい音楽をカタチにしてみたくなったっていうのが正直なところです。いつもはリスナーにどう伝わるかを考えてリリックを書くんですが、今回は俺ら自身に向かって歌ってる曲が多いんじゃないか、と。ネガティヴな部分やカッコ悪い部分もエグイくらいリアルに、言葉をあまり選ばないで書きましたから。だからこそ、そこから見つけたポジティヴな答えが凄い説得力あるものになったと思うし、結果リスナーにもよりストレートに伝わるものになったと思ってますね」(Lico Lion)。

「作品を作る時は常にいま感じていることを正直に表現し、そうして出来た曲のなかから選んでアルバムにまとめているので……実のところ毎回テーマは設けてないんですよ。でも、リアルタイムでいま感じていること、いま伝えたいことを曲にしているので、同じ〈いま〉を生きるリスナーにはきっと俺らのメッセージが伝わると信じています」(勝男)。

 そんな〈いま〉のNRSが堪能できる今回の新作には、「俺らだけじゃ出せない色を出すことができたので満足してますね」(勝男)と語る、盟友BROWN SUGARを迎えた“You & Me”やINFINITY 16のプロデュース曲“Sexy Chocolate”をはじめ、フィジカルでアッパーでラガなチューンが目白押し。なんでも、前作『LOVE & PEACE』を発表してからの1年間は、月に10本以上のステージをこなすなど徹底して現場にこだわってきたとのことで、今回の収録曲はそうした活動の集大成とも取れそうだ。一方で、ライヴ活動を通じてリスナーとの距離を縮めてきたからこそ生々しさを増したリリックは、レゲエ云々の枠を超えた訴求力を備えていて、普段ダンスホールを好んで聴かない人にも強く響くことだろう。

 すでに〈SUNSET〉や〈福岡レゲエ魂〉など数千人規模の野外フェスでもオーディエンスを沸かせている彼らだが、今後の展開について尋ねてみると「やっぱり生の現場、ライヴをやり続けるって感じですかね。みんなにメッセージが伝わっているなって実感できるのは、ライヴがいちばんだから」(Lico Lion)との返答が。この『CHANGE』をきっかけに、2人の勇姿がひとりでも多くの人の耳と目に留まることを願うばかりだ。

▼Natural Radio Stationの楽曲を収録したコンピ。

▼『CHANGE』に参加したアーティストの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年10月28日 18:00

ソース: 『bounce』 315号(2009/10/25)

文/斉藤 ジョゼ

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