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インタビュー

カゲロウ

超ホットな彼らのサウンドはジャズ・パンク!? ライヴの爆発力を瞬間パックしたかのような新作はヤケドに注意!


  ベース、サックス、ドラムスにゲスト・ピアノを加えた4人が叩き出す凶暴な音圧とフリーキーなインタープレイに目が眩み、アドレナリンが噴出する――大学の音楽仲間を中心として2005年に結成されたカゲロウは、東京・吉祥寺をホームタウンに精力的なライヴを重ね、熱狂的な反響の輪を着実に広げてきた。楽器編成はジャズのクァルテットだが、アティテュードと音の質感はまぎれもなくパンクのそれだ。

「このスタイルが、自分のなかでパンクをいちばん表現できるからやってるっていう感じかな。ただ、受け止め方は何でもいいんですよ。最初にこのスタイルでやった時が異常に楽しくて、でも観てるほうは楽しくねえかなっていう感覚があったんだけど、いざやってみたらリアクションが〈ウォ~!〉みたいな感じで。〈あ、これでいいんだ〉っていう感覚がいまだにずっとあるんだよね。〈こんな楽しいことをやってていいんだ〉って」(白水悠、ベース)。

「ライヴではできる限り自然なままそこにいて、いま思いついたかのように曲をやりたい。その曲のメロディーが今日の雰囲気に合わないと思ったら全然変えるし。そもそも白水が書いたメロディーを、そのまま吹いてないんですけどね(笑)」(Ruppa、サックス)。

 人気コンピ『IN YA MELLOW TONE 3』やPE'Zのトリビュート盤への参加などを経て、高まる評価と共にリリースされるファースト・アルバム『カゲロウ』は、ライヴでの人気曲から新曲までを詰め込んだベスト盤的な選曲。破天荒なライヴの迫力を、可能な限り損なわずにCDに収めた録音もいい。InterFMが設立した76Recordsの第1弾リリースということからも、カゲロウの音楽のオリジナリティーと、耳の肥えたリスナーからの支持の高さが窺える。

「このアルバムは曲の完成形というよりは、レコーディングしたその日のライヴという感覚ですね」(Ruppa)。

「2009年のベスト・テイクです、という感じ。楽曲の一個一個にメッセージはその時々変わるもので、求めているのは自分たちが痺れられること。OKラインはそこですね」(白水)。

 作り込まれた曲を再現するよりも、「その場その場でカッコイイことをやることでより洗練された曲にする」(白水)というライヴも必見。この機会にカゲロウの名前を記憶に刻んでほしい。

「もちろんクォリティーは良くなってるんだろうけど、やってることは変わらないし、今後もあんまり変わらない気がする。その時その時の演奏の楽しさ/楽しくなさがこのバンドのスタンスだから。演奏していて楽しくなかったら、カゲロウをやってる理由はないからね」(白水)。

▼カゲロウが参加した作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年12月02日 18:00

ソース: 『bounce』 316号(2009/11/25)

文/宮本 英夫