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インタビュー

SOULHEAD 『SOULHEAD』

より素直に、より自由に――ズバリなタイトルからも意気込みを感じさせる新作を引っ提げ、素直になった2人がふたたび歩きはじめる!

 

オリジナルとしては約4年ぶりのリリース。しかも、いきなりフル・アルバムでアクションを起こしたSOULHEAD。その間、事務所移籍やレーベル移籍があり、グループとして表立った活動は停滞したものの、YOSHIKAは知人とロック・バンドを結成、TSUGUMIは地元・北海道のヒップホップ・グループと曲作りに励むなど、個々に音楽活動は継続していた。そうしたSOULHEAD以外の創作活動は、2人に良いフィードバックをもたらしたようだ。

「前は、音楽も人も、自分の周りにあるものは全部自分たちで背負い込んでたの。それで砂漠の真ん中で〈はぁ、はぁ……〉みたいに息切れして。そういうときに転機が訪れて自分を見つめていくなかで、〈要らないものは置いてっちゃってもいいや〉〈必要だったら後から取りに戻れるわ〉って気楽に考えられるようになって。いまは客観的にSOULHEADを見られるようになってきたの」(YOSHIKA)。

「いまは結構、気持ちがゆったりしてると思う。そのときにポンと出てきた言葉とか歌い方でいいんじゃないの?みたいな。そういうのを自分たちのなかで許せるようになってる。だから(今回は)音も歌い方も歌詞もすべて素直な感じがする。CDのジャケット見ても一目瞭然だよ、素直になってるもん(笑)」(TSUGUMI)。

新作『SOULHEAD』には、ここ3、4年で作り貯めた楽曲を集積。特にテーマは設けず、いままでできなかったことをすべて吐き出したいという思いで制作したという。過去作と比べると生音が増え、アグレッシヴな曲とTSUGUMIのラップが増量。2人のハーモニーはやや減量したが、そのぶん個々の生々しいヴォーカルと声色の多彩さが際立つ仕上がりとなった。リード曲は“Whatever”と“限界ピストルズ”。特に後者は疾走感のあるハード・ロック調のナンバーで、その新しいイメージに口があんぐりのアングリー・ソングになっている。

「“限界ピストルズ”の歌詞のテーマは〈毒〉。気に喰わない腹黒い奴に向けて書いたの(笑)。“Whatever”はカラオケで好きな人に向けて歌ってもらいたい感じの曲。音もキラキラしてるし、かわいいし」(YOSHIKA)。

「“Whatever”はいままでのイメージを裏切らないパターン。“限界ピストルズ”は裏切ってびっくりさせるパターン。今回はどっちとも見せたいの。どっちか片方じゃこのアルバムは語れないから」(TSUGUMI)。

その2曲の振り幅が物語るように、本作のサウンドは非常にヴァラエティー豊か。テクノ×ロックな高速チューン“Show Time”で幕を開け、アシッド・ジャズな“Cosmic Walking”、80年代風味とダンスホール・レゲエが合体した“9Dayz”、パンキッシュな“Plunder”、エモなヒップホップ“The Battle Of...”、爽快な4つ打ちチューン“FANTASY”などなど、多種多様な楽曲が並ぶ。“大きな世界の小さな僕ら”や“All My Dreamer”は活動停滞中の思いを綴ったという歌詞に注目。なかでも過去曲のタイトル(前作『Naked』に収録された“ANATA”)や、〈今、髪をほどいて〉(セカンド・アルバムのタイトル『BRAIDED』のメタファー)というフレーズを歌詞に織り込んだ後者はファンに向けた曲となっている。

「ブログのコメント欄に書き続けてくれる人たちがたくさんいたんだけど、自分たちでもどうなっていくかわからなかったし、嘘をつきたくないから、いままでコメントできなかったの。でも、やっとけじめがついたから始められましたよ、っていう。そんな気持ちを書いたの」(YOSHIKA)。

SOULHEADはこうあるべき、という固定観念から脱却し、肩の荷を下ろして身軽になり、いまの自分たちに正直に作ったアルバム『SOULHEAD』――そこに2人は自分たちの名前を冠した。

「何か他の言葉にすると、途端に〈違うぞ〉って思ったの。なんか余計な意味合いまで入ってくるなって」(TSUGUMI)。

「自分たちはこうです、っていうのをいまここで言えるんじゃないかって思ったの。作り終えて、ここからリスタートだなって思ったのかも。自分たちの名前をタイトルに付けることって自信がないとやれないことだと思うんです。でも、今回はすごく自信があるんですよね」(YOSHIKA)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年03月08日 22:00

更新: 2010年03月08日 22:02

ソース: bounce 318号 (2010年2月25日発行)

文・インタヴュー/猪又 孝

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