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インタビュー

INTERVIEW(3)――曲を汚してみたかった

 

曲を汚してみたかった

 

──では、それぞれのカヴァー曲についてお伺いしていこうかと思うんですが、まずは1曲目“真夜中のエンジェル・ベイビー”(平山三紀、75年)。

マリアンヌ「平山三紀さんはね、すごく好きな歌手で。好きだけど歌っていいのかしらっていうのはありましたけど、でも好きだから歌っていいんだ、いいはずだと思って(笑)」

──演歌歌手における美空ひばり的な存在だと。

マリアンヌ「そうなんですよ。曲がいいなあっていうよりは、平山三紀さんの声がいいなあっていう。たぶん、この曲も平山三紀さんが歌ってなかったら、さほど興味も湧かなかったと思うんです。曲自体もいい曲ではあるけれども、平山三紀さんだからこそさらに良い曲になったんじゃないかなって思って、それでやってみたんですよ」

──アレンジはオリジナルとかなり違いますよね。

マリアンヌ「原曲はアーバンな感じというか、クールなアレンジだったりするんだけど、もうちょっと泥臭いものに、いい意味で曲を汚してみたかったんです。それで、サーフっぽいアレンジにしてみようっていう構想が自分のなかに古くからあって。それこそキノコホテルを始めたぐらいの頃からこのヴァージョンで歌いたいっていうのがあったんですけど、当時のギターのコが、ヘタなコではなかったんだけど、どう弾いていいのかわからないみたいな感じでうまく仕上がらず、オクラになってたの。そのあとでケメ(イザベル)が入ってきて、しめしめと思いながら軽く説明してやってもらったらすんなりとハマッたのね」

 

エマニュエル_A

 

──イザベルさんはサーフ・ギター・マスターですもんね。

イザベル「〈なんちゃって〉ですけどね」

──お次は“ピーコック・ベイビー”。オリジナルの歌唱は大原麗子(68年)ですね。

マリアンヌ「これもアレンジを大幅に変えることでキノコホテルらしさが出たんじゃないかしら」

──歌い回しとかキメの部分とか、いまの音楽にはあり得ないというか、むしろこっ恥ずかしいようなものだったりしますよね。

マリアンヌ「そういう部分はすごくあると思います。〈ゴーゴーゴゴッゴー!〉とかね。この曲に限らず、そういうの満載よ、このアルバムは。なにかしらフックになる部分がある曲をセレクトしがちなのよね、カヴァーは」

──“恋は気分”(ポピーズ、74年)は、原曲が女性コーラス・グループのものということで、支配人が多重録音でコーラスを録ってるそうで。

マリアンヌ「そうなの。私が4人ぐらいいる感じ。この曲はキノコホテルっぽくないかな?って思ったんですけど……爽やかだし(笑)。ライヴでもあまりやってないんです。やはりコーラスが要なので、なかなかやる機会がなく。いま、ライヴでもちゃんとお見せできるように、メンバーには修行を積んでもらってるところ」

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掲載: 2010年08月04日 18:00

インタヴュー・文/久保田泰平