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インタビュー

INTERVIEW(2)――死生観を出したくて

 

死生観を出したくて

 

――ああ……確かにそういうふうにも聴こえます。細かい話ですけど、“君と背景”と“かくれんぼ”は、カップリングも含めてタイトルが全部日本語ですよね。

「そうですね。“君と背景”を作った時に〈小説的なイメージでいこう〉ということをもう決めていて、書籍っぽいというか、そういうイメージのタイトルが多くなったのかなと思います。前回もそうなんですけど、今回もジャケットは小説的なイメージで作っていて、そういうちょっとしたストーリー性みたいなものはあると思います」

――いままではわりと英語タイトルも多かったので、〈おや?〉と思ったんですよ。

「ある方向ににいっちゃうとそっちだけになるというのがあるんですよ、俺は。いまは〈日本語って美しいな〉と思う気持ちがすごく強くなってきていて、そればっかりなんですよね。中間がないってよく言われます(笑)」

――いまはそれを楽しんでやっている?

「そうですね。初期の頃はもっと響き優先のところがあったし、照れ隠しのところもあったし。言葉の鎧みたいな、見られたいけど見られたくないみたいな感じがあったんですけど。いまはそのなかで自分が言いたいことの描写を、その輪郭をくっきりさせてきてはいます」

――“かくれんぼ”というタイトルは、直接歌詞のなかには出てこない言葉ですよね。これをタイトルにしたのは?

「歌詞のなかで〈見つかるように隠れていた〉というところが印象的だったので、それがキーワード的になってますね。〈おやすみ〉という言葉もすごく強かったんですけどね。どっちにしようか、自分のなかですごく分かれました。曲が変わってくるじゃないですか? タイトルが〈おやすみ〉と〈かくれんぼ〉とでは。どっちもあって、〈おやすみ〉はリセットして次の日を迎えるみたいな、そうやって生きていくという意味もあったし。だけどちょっと死生観みたいなものも出したくて。〈かくれんぼ〉のほうが生々しさが出たと思います」

――ああ……なるほど。

「“君と背景”というすごくポップな曲を作って、たぶんいまの僕らにはこれ以上ポップな曲は作れないような気がしていて。そういう意味では今回の“かくれんぼ”は自分たちらしいタイム感、温度みたいなものが出た曲だなと思います」

――すごくいいバランスだと思いますよ。

「何か、ずっと突っ走れないんですよね。グーッと行って、ちょっと戻ってみたり(笑)。そうやらないとバランスがとれないというか、どこにいるのかよくわからなくなっちゃう感覚があって。飲み込まれるというか、何をやっているのかよくわかんないけど、〈みんながいいって言うからいいか〉みたいな感じになるのが怖いし、そこでのバランス感覚というのは、4人でいつもすごく考えているので」

――考えてみたら、今年がメジャー1年目みたいなものなんですよね、sleepy.abは。去年の『paratroop』を作っている時には、メジャー・レーベルを意識してはいなかったはずだし。

「そうですね。『paratroop』は契約する前に作ってたので、メジャーとして作ったのは“君と背景”が初めてですね」

――そこで、いい意味での〈やってやろう〉的な意欲もあったのかな?と。

「そうですね。いまのJ-Popのなかでsleepy.abはどういうものを作るのか?とか、すごく考えたし。この“かくれんぼ”という曲のバランス感覚は、今後自分たちが続いていくためにあると思います。“街”(“君と背景”のカップリング曲)という曲もそうだったんですけどね。“君と背景”と“街”というバランス感覚があって、新しいところだけを出すのはまだ怖いというか、〈らしさ〉を出しておきたかったので」

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掲載: 2010年11月17日 18:00

インタヴュー・文/宮本英夫