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インタビュー

MO'SOME TONEBENDER 『STRUGGLE』

 

MO'SOME TONEBENDER

 

MO’SOME TONEBENDERから、実に2年2か月ぶりとなる新作『STRUGGLE』が届いた。99年のデビュー以来ほぼ毎年、コンスタントに作品を発表し続けてきたバンドにとっては異例のブランクであり、またバンド内に独自の緊張関係を持つモーサムだけに、その先行きを不安視する声が上がったのは致し方ないだろう。しかし、こうして彼らは素晴らしい作品と共に帰ってきてくれた。まずは、それを素直に喜びたい。そして、そんな復活作である今回のアルバムは、前作『SING!』からの反動もあってライヴ感に溢れた原点回帰的な側面を持った仕上がりとなっていながら、やはりこれまでのどの作品とも違う、現在のモーサムの姿をすべて刻み込んだ一枚となっている。ストラグルを続けた2年間について、百々和宏(ヴォーカル/ギター)に話を訊いた。

 

 

自分たちの新しいモード

 

――新作『STRUGGLE』は2年2か月ぶりのアルバムとなるわけですが、まずは完成したときの率直な感想を訊かせてください。〈やっと出来た〉という感じですか? それとも〈え? もう2年も経ったの?〉という感じですか?

「やっと出来た感もないというか……曲作りしながらライヴやってっていうのを2年間繰り返してたんで、完成したときも〈あれ? これホントに完成したかな?〉っていうか(笑)、(まだ続くんじゃないかな?)っていう気もしてましたね」

――前作『SING!』はモーサム史上もっともポップな野心作で、その前年には1年で2枚のアルバムを出したりもしていたので、その頃はかなり濃密な時期だったと思うのですが、『SING!』のツアーが終わった後のバンドはどういう状態でしたか?

「まあ、よくない状態です(笑)。契約も切れたし、次の一手が見つからないし。〈次はガンガン攻めの曲を作ろうぜ〉って話はしてたんですけど……やっぱりね、『SING!』はモーサムの歴史のなかでもっとも冒険することに特化したアルバムだったんですね。要はライヴのことをまるっきり考えずに作ったっていう。〈ライヴでどういうふうに盛り上がるか〉ってことを考えながら曲を作ってきたバンドが、まるっきりそれを無視して作ってみた。達成感はデカかったんです。〈モーサムでここまでやれたか〉っていうのは嬉しかったんですけど、やっぱりね、ライヴで再現するのがしんどかった(笑)」

――(笑)。

「まあストレス溜まりましたね。果たしてお客さんに『SING!』のいいところを全部伝えきれたんだろうかって。それで〈もうちょっとライヴで盛り上がる曲作りたいね〉って話はしてたんですけど、ただそういうのってね、作ろうぜって言ってポッと作れるもんでもなくて……ちょっとテンション下がってたんで(笑)。ライヴはコンスタントにずっとやってたんで、曲が出来たら歌詞がちゃんと乗ってない状態でもバンバン新曲やってたんですよ。ただ、新鮮味はずっと感じられず、〈なんかこれ前やったことある感じやな〉っていうのしか出てこなくて、それで1年ぐらいかかっちゃいましたね」

――じゃあ方向性に迷っていたというわけではなくて、漠然とした方向性はあったけど、契約のこととかもあったし、テンションがついてこなかったと。

「でもね、メーカーが切れたとかっていうのは全然悲観的な話じゃなくて、ちょうどよかったなと思って。次が見えてなくても曲作りをバーっとやって、なんか形にせにゃ、っていうのがずっとあったんで、その締め切り感でブワっとやってきたバンドでもあったけど(笑)、そんなんなしで、ホントに自分たちが出したいと思ったタイミングで出しゃあいいし、メジャーとかインディーとかは関係ないと思ったんで、とにかく自分たちの新しいモードを期限を設けずに探そうっていう。それで去年の年末ぐらいに〈どうしよう?〉ってなったときに、サポート・ドラマー入れて4人体制でライヴをやろうと。結果的に、〈実験期間〉と銘打ってそうやってライヴをやり出した頃から、次が見え出したんですよね」

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カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年12月08日 18:01

インタヴュー・文/金子厚武