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インタビュー

〈きれいなケリーさん〉とは何か?

 

“She's Got That Vibe”(91年)でのメジャー・デビューから約20年、新作『Love Letter』と編集盤『Epic』を聴く限り、いまのRさんは久々にピュアでスピリチュアルなモードに入っているようだ。ただ、作品単位での試みはポジティヴなステッパーズ盤と自己流のゴスペル作をパックした『Happy People/U Saved Me』以来ながら、彼が〈性〉と〈聖〉の両輪を疎かにしたことはない。R&Bサグを称した『TP-2.com』の先行曲は故人への祈りに満ちた“I Wish”だったし、教会風のプリーチで幕を開ける『R. Kelly』は同時にアイズレーの閨房作法を極めた逸品でもあったのだ。また、トリニティ5:7らとのゴスペル仕事はもちろん、マイケル・ジャクソンに書いた“One More Chance”やワイクリフ・ジョンとの“Ghetto Religion”などは清らかな側面を出したものだろう。なお、ワイクリフとの共演もそうだが、ノビノビ歌われる雄大な曲が多い『Epic』を聴けば、いまのエイコンの雛形がRだということもよくわかる(新曲“Can You Feel It”なんてモロだ)。超然としているようでいて、やはりフォロワーたちと闘う気満々なのでR。

 

▼関連盤を紹介。

左から、R・ケリーの2004年作『Happy People/U Saved Me』、2000年作『TP-2.com』、95年作『R. Kelly』(すべてJive)、トリニティ5:7のベスト盤『Holla: The Best Of Trin-i-tee 5:7』(GospoCentric)、マイケル・ジャクソンのベスト盤『Number Ones』(Epic)、ワイクリフ・ジョンのベスト盤『Greatest Hits』(Columbia)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年02月18日 13:35

更新: 2011年02月18日 13:35

ソース: bounce 328号 (2010年12月25日発行)

文/出嶌孝次