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インタビュー

NAOITO 『379DAYS』

 

NAOITO_特集カバー

 

ミクスチャー文化としての〈歌謡曲〉

 

KINGDOM☆AFROCKSのパーカッション奏者として活動するNAOITOが、ギターを持ち、弾き語りスタイルで歌いはじめたのは5年前。ダイナ・ワシントンの歌などで知られるスタンダード“What A Difference A Day Made(縁は異なもの)”がきっかけだったという。

「この曲を大切な人に、心の底から面と向かって歌ってみたくなったんです。(そもそも言葉よりも、弾き、語ることで生まれる)〈響き〉そのものから伝わってくることのほうがずっと興味がありました。原始的で、なんて音楽的なんだろうって。言葉の壁を簡単に越えてしまうところに、魅力を感じてしまいます」。

アート・プロジェクト〈屋台トリップ〉に〈旅の流し〉として参加し、異国の地で、道端でひとりで歌う機会も増えた。そうして国内・海外と旅を続けながら歌を紡いでいった彼が辿り着いたのは、日本が独自に発展させていったミクスチャー文化としての〈歌謡曲〉だった。

「僕らが子供の頃に聴いていた歌謡曲のなかには、サンバやラテンのリズムが既に取り入れられていたわけです。例えば“コーヒールンバ”って曲は、〈これはルンバなのか?〉と思ってしまいかねない曲調なんだけど、歌い出しの部分にはその雰囲気というか情感がしっかりあって好きになってしまう。その〈なんちゃって〉な、適当な感じが日本的であり、かえってオリジナリティーを増すってこともある。間違って独自の発展を見せたモノっておもしろかったりするけど、世界中にあるリズムはそうやって広がっていったんじゃないかな。サルサのあの強烈なメロディーは演歌だと思うし、タイのルークトゥーンという昔の歌謡曲なんかは、はっきり言ってコロンビアのクンビアや昭和歌謡とかなりリンクしている気がするし……そんなことを発見しては心から喜んで、それを繰り返しています」。

そうして生まれたセカンド・アルバム『379 DAYS』はタイトル通り、1年以上に渡るNAOITOの日常や、そこで体験したり体感したことがダイレクトに反映された作品。世界各地のリズムやサウンドを旅するように歌い歩いていく彼の歌の核にあるのは、日本人だからこその情感だ。さらにそれが、さまざまなリズムやサウンドが生まれた場所ならではの郷愁や哀感と、不思議とリンクしている。

「自然と好きなものが合わさったというか、とにかく僕自身が非常に雑食でノスタルジアなので。強いて挙げるなら、心の共通項みたいなもの。郷愁や哀感はとても普遍的で誰もが持っているものじゃないですか? いま初めて聴いて、見て、食べて、感じるものを不思議と懐かしいと思うのはノスタルジーの醍醐味でありロマンですよね」。

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カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2011年03月16日 18:00

更新: 2011年03月16日 18:09

インタヴュー・文/宮内 健