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インタビュー

JAWEYE 『alpha』

 

楽しんで音楽をやる、その気持ちからスタートしたバンドの初音源が完成。心をパーッと解放させる力強いナンバーが目白押し!

 

 

バンド結成は2010年だが、JAWEYE(ジョアイ)には前史がある。年齢的にはまだ若いが、それぞれが長い音楽キャリアを持ち、酸いも甘いも噛み分けた大人のバンドだ。そこを踏まえて聴かないと〈メロコアにダンス・ビートとJ-Pop的なサウンドをぶち込んで疾走する、いまっぽくて格好良いハイブリッドなバンドじゃん〉ということになって、それはそれで全然OKなのだが、彼らを語るにはぜひ、音の裏側に貼り付いた人間の感情の深みを強調したい。

「メンタルから出来上がったバンドなんですよ、JAWEYEは。それまでは猪みたいに走ってきたから、落ち着いて音楽を楽しむ時間がなかったんだけど、このバンドになってからは楽しくやらないとつまんないっていう感じだし、長くやりたいと常に言ってるので。それができづらい時代になってきてると思うので、続けることに意味があると思ってます」(師崎洋平、ギター)。

「音楽的には、バンドマンとしてのバックグラウンドがあって、そこにデジタルの要素を挿し込んでいく感じですね。そういうバンドにありがちなのは、メロディーが死んじゃってる場合が多いと思っていて。でも僕らはずっと歌を大事にしてきたから、それを活かさない手はないだろうと。結果的に、他にないタイプになったんじゃないかなと思いますね」(上田浩平、ヴォーカル/ギター)。

共に以前のバンドではメインのソングライターで、90年代のUKロックなどに影響を受けて普遍的なグッド・メロディーを追求してきた上田と、メロコアとJ-Popの融合がやりたくて音楽を始めたという師崎のセンスが溶け合い、JAWEYEのサウンドは生まれている。ファースト・ミニ・アルバム『alpha』は、録音する時点で持ち曲のすべてだったという7曲を収録した、自己紹介に相応しい会心の仕上がりだ。

「出発点という意味で『alpha』。JAWEYEには“SALVAGE”“Trigger”みたいなストレートなギター・ロックっぽい曲と、“Mark Up (for days)”“Control Disc”みたいなダンス・ビートを強調した曲の2パターンあって。ダンスっぽい曲では打ち込みの比重を強めにしてます」(上田)。

「デジタルはすごく難しくて、入れることによって曲の持つ温度が0℃になったりするんですよ。逆に、入れることで温度が倍増する時があることにも気付いたので、より人間味を出すためにどんどん入れたい気持ちはあります。何でもありですね。曲の世界を表現できるのであれば、使っちゃいけない音はないと思う」(師崎)。

広い空間を満たす分厚いギターの壁、緻密に組み立てられた扇情的なリズム、透明感のあるハイトーン・ヴォイスで歌われる美しいメロディーに身を任せていると、〈解放〉の2文字が自然に浮かんでくる。迷いなく奏でられるその音楽には、停滞や鬱屈といったネガティヴな感情を一気に吹き飛ばす、根源的なパワーが存在する。

「その感想はすごく嬉しいです。いろいろ細かいことをやってるけど、そういう感覚は無意識に入れてると思うし、サウンドメイキングでも曲作りでも、メンタル面でも、バーンと解き放ちたいところがあったので。それが伝われば嬉しいですね」(師崎)。

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年04月13日 18:00

ソース: bounce 331号 (2011年4月25日発行)

インタヴュー・文/宮本英夫

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