LONG REVIEW――JAWEYE 『alpha』
いまだぽっかりと空いているELLEGARDEN不在の穴を埋める可能性を持った美メロとパンキッシュな演奏に、オートチューンや打ち込みなども採り入れたダンサブルなアプローチを融合させ、時代のど真ん中を射抜こうとするスケールの大きな楽曲がずらりと並んだデビュー作。楽曲ごとの完成度は、すこぶる高いと言っていい。しかし、歌詞を読んでもらえればわかるのだが、この高い強度を誇るサウンドの背景にあるのは、ある種の〈諦念〉なのである。
前身バンドをよく知る者として書かせてもらうと、かつての彼ら(4人中2人)は、チャート系のJ-PopとHi-STANDARDを並列に愛し、ウィーザーからゲット・アップ・キッズに至るパワー・ポップ~エモの流れを汲み、そこにベン・フォールズ・ファイヴのような端正なメロディーを盛り込んだ、実に志の高い楽曲を作っていた。しかし、それゆえに、彼らの音楽は特定の枠には収まりきらず、その魅力が十分には伝わりきらなかったように思うのだ。
だからこそ、JAWEYEではその経験を踏まえ、堂々と時代を狙い打つのである。そして、その実力がいまの彼らにはしっかりと備わっていることを、本作は確かに証明している。願わくば、彼らが一刻も早くブレイクを掴み、その背景にある多彩な音楽性をふたたび解放した楽曲も聴いてみたいと思うのだが、アルバム・タイトルの『alpha』が示すとおり、まずはその第一歩を踏み出したというところだろう。
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