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インタビュー

Hilary Kole

まるで彼女が隣に座って直接歌いかけてくるような親密感

衝撃のデビュー作『Haunted Heart』、そして錚々たるピアニストたちと共演した『You Are There』という2枚のアルバムで確固たる地位を築いたジャズ・ヴォーカル期待の星、ヒラリー・コール。その彼女からニュー・アルバム『Moments Like This』が届いた。前2作へ寄せられた高い評価は大きなプレッシャーだったそうだが、見事にそれをはねのけたベストなパフォーマンスが収録されている。プロデューサーはデビュー・アルバムと同じくギタリストのジョン・ピザレリ。

「いつものようにプロデューサーのジョン、エグゼクティヴ・プロデューサーのジャニ・ヴァレンティ、そして私の3人で何百という候補曲のリストを持ち寄ってスタートしたの。コンセプトは〈恋愛〉。それもただのラヴ・ソングじゃなくて、少し大胆で官能的な大人の恋愛ね。 長く続かない関係でもその瞬間は楽しむ…それがアルバム・タイトルの意味でもあるの」

本作でもジョン・ピザレリは重要なポジションを担っており、彼女の信頼は厚い。

「リハーサルの段階からジョンは曲に素敵なスイング・アレンジを施してくれたわ。センス溢れるプロデュースも素晴らしくて、彼は私のベスト・パフォーマンスを引き出してくれる。それから、私はギターの音色が大好きなの。なぜならバンドのサウンドに美しいテクスチャーを加えてくれるから。今回も私のお気に入りのジョン・ピザレリとジョン・ハートという2人のギタリストに演奏してもらえてラッキーだったわ」

また、今回はデビュー作のように彼女自身のアレンジではなく、多数の豪華なアレンジャーを起用している。その中には巨匠、ドン・セベスキーの名も…

「アレンジを他人に任せたのは、曲を違った角度から見ようと思ったから。ドンはジョンが紹介してくれたの。長年の夢だったから光栄だったし、とても興奮したわ。初めてお会いしたときに私が《ドント・エヴァー・リーヴ・ミー》をカーメン・マクレイのヴァージョンのようにやりたいって提案したら、ドンは『そんなの簡単だよ。だって僕はそのレコードのアレンジャーだったんだから』ですって…(笑)この曲はこのアルバムの中でも特に気に入っているの」

混沌とした現代のミュージック・シーンにおけるスタンダード・ジャズの可能性については…

「スタンダード・ジャズを歌うことはポジティヴに考えているわ。スタンダードはいつの世もタイムレス。たとえ知らない曲であっても人を感動させる何かがあるの。だから私は歌い続けて次の世代に伝えていきたい」

では、彼女にとって歌うこととは?

「私の人生にとって最高の楽しみ。彼氏が隣にいるのを想像して、その彼に向かって優しく歌うの。だから私が直接歌いかけているような親密さを感じとって欲しいわ」


Live Information

7/20(水)~7/23(土)
会場:COTTON CLUB
Hilary Kole(vo)Frank Kimbrough(p)John Hart(g)Paul Gill(b)Carmen Intorre(ds)
http://www.cottonclubjapan.co.jp/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年06月30日 13:33

更新: 2011年07月01日 16:59

ソース: intoxicate vol.92 (2011年6月20日発行)

interview & text : 近藤正義