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インタビュー

serial TV drama 『パワースポット』



あれから1年──前代未聞のアクシデントをプラス要素へと変換し、驚異的な速さで完成させた自信とパワーに溢れるニュー・ワールド!



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豪快かつ痛快なサウンドとポップなメロディー、そしてドラマティックな曲構成にユーモアをも織り込んだロック・チューンを聴かせる5人組、serial TV drama。彼らの作り上げたメジャー・ファースト・アルバム『パワースポット』には、突き抜けたパワーが漲っている。

彼らは、2010年7月にメジャー・デビュー・ミニ・アルバム『マストバイ』を発表。その直後に前ヴォーカリストが脱退し、新たに鴇崎智史が加入した。フロントマンのチェンジは、バンドをイチから立て直すくらいの大きな試練。そんな事態を経て、彼らは強靭で個性溢れる新たなサウンドを作り上げたのだ。

「いろんなことを開き直って、新しい気持ちで挑戦する1年でしたね。正直、最初は大変でどうなるんだ?って思ったけど、でも、こうして作品が出来上がってみると悪い1年じゃなかったなって思えます」と語るのは、バンドを牽引するギターの新井弘毅。鴇崎も「ヴォーカリストが替わるのは、元のファンからしてみればマイナスだし、そこはストレスとの戦いでした。でも、Winkのカヴァー・シングル“愛が止まらない -Turn it Into Love-”を作ったことでやっと殻を破れた感じがありました」と振り返る。幅広いレンジの歌声を持つ鴇崎の加入によって「楽曲作りの制約も細かいことを気にせず、とにかく良い曲を作ろうということに集中して制作できた」(新井)とも。

「僕はカラオケでいろんなタイプの歌を歌うのが大得意で(笑)。ただ、以前のバンドではそれをそのまま表現するのに躊躇してたんです。でも、このバンドではいろんな歌い方でいっちゃってもいいってことだったんで、もう吹っ切れて歌いました(笑)」(鴇崎)。

まさに鴇崎の加入はバンドに大きな進化をもたらし、ハイヴォルテージな『パワースポット』へと繋がったのだ。

オープニングを飾る“ティリラ・ティリラ”は「僕らの持ち味の多重コーラスをふんだんに盛り込んだ」(新井)キャッチーなパワー・ロックで、まさに2011年版のスウィート“Action”とでも言えそうな昂揚感が気持ちイイ。ドラマティックなミディアム・チューン“SWEET HOME”では懐かしき日々を歌い、ブギーなギター・リフが鳴り響く“アナログ革命”では歌詞のなかに往年のロック・バンドのイメージを散りばめ、〈ROCK WILL NEVER DIE!〉的なメッセージに喩えて訴える。さらに、ヒップホップな“Overslept Kills The Day” 、優しいメロディーからパワフルに、そしてダンサブルな曲調へと変わっていく大曲“英雄”ではヒーローの苦悩を歌ったりと、カラフルな楽曲がズラリ。ハジケた“PARTY ROCK ANTHEM”を経て、ラストの“バラード”では「スタジアム・ロックに必須な(笑)」(鴇崎)、文字通り壮大なバラードを聴かせる。

70~90年代のハード・ロック、ヘヴィー・メタルをオマージュし、自分たち流に昇華したサウンドは、知識を肥やしたロック・ファンをニヤリとさせつつ、知らない世代には新鮮に聴こえるはず。こうした音楽性は、現在の日本の音楽シーンではなかなか見当たらない。しかもそれを、メタルやV系ではなく、あくまでオーセンティックなロックの枠で成り立たせているバランス感が、彼らならではの魅力に思える。

「一見ふざけてるように思えるかもしれないけど、それを真面目にやってるし。あと、人によっては〈すごくイイ!〉って言うかもしれないし、〈イライラする〉って言うかもしれない(笑)。普通に良いって言われるものより、賛否両論あるくらい振り切った作品を作れたことがなにより嬉しいですね」(新井)。

「さっき、殻を破ったって言ったけど、殻って一枚じゃないし、このアルバムでもう一枚ブ厚い殻を破った感じですね。聴いてくれる人が、人生ってなんでもありなんだなって気付いてくれたら嬉しいですね」(鴇崎)。

やりきることの気持ち良さが体感できる『パワースポット』はここにある。serial TV dramaがお届けする、明るく楽しく激しいロックの妙技を存分に味わおう!



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年08月16日 16:03

更新: 2011年08月16日 16:46

ソース: bounce 335号 (2011年8月25日発行)

インタビュー/土屋恵介

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