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インタビュー

BROWN SUGAR 『INSPiRE』



夏をさらに暑く熱くする、アツアツの新作が登場! アグレッシヴに、たおやかに——今回もサスガの〈女前〉っぷりですよ!!



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♪夏がくーれば思い出す〜♪じゃないけれど、ファースト・アルバム以降、常に夏にアルバムをリリースしてきた福岡発の女前レゲエ・ユニット、BROWN SUGAR。そんな夏オンナな彼女たちがレーベルを移籍して気分一新、通算5作目となるニュー・アルバム『INSPiRE』を届けてくれた。今回も持ち味であるタフで前向きなスピリットは全開。一曲一曲に情熱が迸る。

「今回のテーマはすごくシンプルに〈強さ〉です。力強さ、信じる強さ、願う強さ、愛する強さ、女性ならではの強さと、さまざまな形の強さを曲によって表現しました」(KAZ)。

キラキラ感と力強さにこだわったというタイトル曲“INSPiRE”、人と人を繋ぐ架け橋を虹に例えたという“RAINBOW”、愛の絆の強さを描こうとヴァース部分は2人で掛け合って作った“LOVE”など、前半から聴きどころたっぷり。野太い声で畳み掛けるようなフロウを繰り出す扇情的なナンバーから、穏やかな声で歌いかけるピースフルなものまで幅広く聴かせる彼女たちだが、今回はハイパーなアップが多め。2分台、3分台の楽曲で一気に駆け抜ける。

「今回はラガマフィンが炸裂した曲が多いので、自然とダンスホール・レゲエ祭になってます。BROWN SUGARはライヴ・アーティストなので、ライヴでお客さんといっしょにブチ上がれる曲をメインに作りました」(KAZ)。

「スピード感にもこだわりました。そのスピード感からも勢いや強さを感じてもらえれば。かなりアクセル全開のハイスピードです」(NAT)。

前作『ballad』は客演を一切迎えずに自身の強さと弱さの両方を描き、ひとりの女性としてのコクにスポットを当てたアルバムだったが、今回はMetisやBIG RON、Natural Radio Stationなどさまざまなタイプのゲストを迎え、自分たちのしなかやかな音楽性を濃く表現。なかでも“シングルマザー”のヒットで知られる注目のシンガー、SA.RI.NAが参加した“Yell”は、これまでにないほどキャッチーなサビのメロディーが強く印象に残るナンバーだ。

「SA.RI.NAさんは以前から注目してたアーティストで、今回〈いっしょに曲を作りたい!〉と熱烈なラヴコールを送って実現しました。彼女のクリアなシルキー・ヴォイスとBROWN SUGARの女前ヴォイスのギャップを聴いてほしいです」(KAZ)。

本作の制作にあたっては、「身体や心のなかにある芯を表現するため、その芯がブレないように意識して魂で歌った」と語るKAZ。一方のNATは「きれいにまとめ上げるというより自分が感じたことをストレートに。雑になりすぎずきれいになりすぎずの絶妙なバランスを意識した」という。そこで各々に、一聴しただけじゃわからないかもしれないけど、実は細かいこだわりがたくさん詰まっているナンバーを挙げてもらった。

「“TAKE IT”はBROWN SUGARにとって新しい挑戦がいっぱい入ってます。ラップのようなラガマフィン、曲の構成やパートによって声の出し方/フロウをまったく違うテイストにしているので、まるでたくさんの人が参加してるような錯覚を起こす曲です」(NAT)。

「個人的にですが、“GUNMAN”の1ヴァース目の巻き舌とブリッジの巻き舌の微妙な違い。これは一聴ではわからないはず。巻き舌の美学に注目です!」(KAZ)。

さらに、2人に本作の仕上がりを夏の食べ物に例えてもらったところ、「焼肉、冷麺付き」との答えが。焼肉を食べれば夏バテなんてどこ吹く風、しかも冷麺でガッツリ締めるあたりが、やはり女前だ。
 「こってりスタミナ系とでも言いましょうか。このアルバムで暑い夏をさらに熱い夏にしましょう!」(NAT)。



▼『INSPiRE』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
左から、Metisの2011年のシングル“人間失格”(ユニバーサル)、BIG RONの編集盤『KING OF HOOK』(HOOD SOUND/Village Again)、Natural Radio Stationの2011年作『Voyage』(DONKEY WORKS)、SA.RI.NAの2010年作『愛・絆』(SOULTAG)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年08月16日 19:28

更新: 2011年08月16日 20:19

ソース: bounce 335号 (2011年8月25日発行)

インタビュー・文/猪又 孝

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