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インタビュー

supercell “My Dearest”



2000人以上のなかから選ばれた新ヴォーカリストをフィーチャーし、ニュー・フェイズへの扉を開けたニュー・シングル“My Dearest”



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いまやsupercellは、ニコニコ動画や初音ミクなどを含めた新しい音楽文化を牽引する存在だ。ヴォーカリストのnagiや多彩なイラストレーターなど、作曲家・ryoを中心としたコラボレーション的なメンバーシップで支持されてきた彼ら。今年3月にリリースされたセカンド・アルバム『Today Is A Beautiful Day』がオリコン3位のヒットとなったのも記憶に新しいが、このたびのシングル“My Dearest”では新たなヴォーカリスト、こゑだが参加している。

「アルバム1枚はヴォーカルを変えずにやるのが好きなんですよね。それでファースト・アルバムのヴォーカルは初音ミクで、次がnagiさんだったんです。もともとsupercellは、何かと何かがぶつかりあう〈現象〉みたいな意味で付けたユニット名なんですよ。だから次はどうするかって考えた時に、自分がやっていこうと思っている方向性としてはヴォーカルを変えるのがいいかなと」。

こゑだは、応募者2000人以上のオーディションから選ばれた。まだ15歳だという彼女の歌には、どんな魅力があるのだろうか。

「スタンスとか、歌い回しとかでフレキシブルな動き方をしてくれるんですよね。ヴォーカルって基本的にはあらかじめ決められたメロディーがあって歌うものなんですけど、彼女はあんまりそういう感じがしないんです。あと、オーディションでは“My Dearest”を歌ってもらったんですけど、シングル向きの曲は特に強そうな印象もあった」。

新たな一歩を見せた“My Dearest”だが、ヴォーカルの変更だけでなく、supercellの楽曲としての変化も感じられる。生音を重視していた『Today Is A Beautiful Day』に比べると、音数を絞りつつも大胆に動き回る打ち込みのドラムが存在感を放っているのだ。

「もともとスタンダードな歌モノであるとか、正統派な音楽をあまり聴いてこなかったし、作ってこなかったんですよ。だからsupercellを始めてからは、自分にとっては珍しいもの、新鮮なものを作っている感覚でそういう音楽をやってきたんです。でも最近になってちょっとずつ感覚が昔に戻ってきているのかなと感じますね。ファーストとセカンド・アルバムでやったようなスタンダードなものと、自分にとって普通なものがミクスチャー、融合されていっているのかも」。

また、今回のジャケットでキャラクターが全面に出されていないのも従来と大きく異なる。意図を尋ねてみたところ、今後の活動に繋がるコンセプトを感じさせてくれた。

「今回はシングルごとにキャラが描かれるんじゃなくて、アルバムに向けて世界観を作っていく感じにしようと思っているんです。だからジャケットを描いていただいたredjuiceさんにキャラなしでお願いしたんですよ。それに曲調もどっちかっていうと一人の女の子の恋の歌っていう感じじゃなくて、世界に対して投げかけるようなものだから、単純に女の子の姿を出すのもちょっと合わない気がしたんです」。

すでにアルバムのプランを思い描いているryo。登場から4年が経過して、いまや誰もが実力を認める存在となったsupercellだが、彼らはさらに前進してみせようとしている。

「昔は、ポップスをやるならカラオケで歌えるようなわかりやすいものであるべきだと思っていたんです。でも、こゑだちゃんが決められたメロディーに縛られない、いい意味でアーティスティックな歌い方をするし、ちょっとそれに乗っかってみようかなっていう感じですね。これまでにやっていたようなかわいい世界観じゃなくても、カッコイイ音楽。サード・アルバム──次のsupercellはそういう方向性になるかなって考えてます」。



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年12月23日 00:00

更新: 2011年11月23日 00:00

ソース: bounce 338号(2011年11月25日発行)

インタビュー・文/さやわか

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