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インタビュー

三浦大知 『D.M.』



ドリーミーにしてデンジャラス、ダンサブルでダイナミックな『D.M.』がドーンとドロップ! マーヴェラスでメロディアスな三浦大知のミュージックは、みんなへのメッセージなのだ!



 

三浦大知_A

大知にしかできないもの

シンガーやソングライターとしての成熟に止まらず、楽曲ごとの振り付けやライヴの構成・演出もみずから担い、総合的なパフォーマーとして貪欲に進化を続ける三浦大知。昨年のシングル“Lullaby”以降、「自分が音楽をやる意味を考えたり、何にチャレンジしたいか明確になった」という彼が、確かな成果を刻んだサード・アルバムをリリースした。前作の表題が投げかけた〈Who's The Man?〉という問いには、ダンスとミュージックを含ませた『D.M.』というイニシャルが答えてくれている。


——作り終えた際の達成感はどうでした?


「今回はまず、いまの〈アーティスト・三浦大知〉像をストレートに聴かせたいという思いがあったんです。どの作品もその時の最大限を出して作ったという感覚に違いはないんですけど、今回は特に2年かけてやってきたことや自分の成長を入れられたという喜びはあるので、そういう嬉しさはありましたね」


——その成長というのは?


「いちばん成長したのは声そのもので、それによって歌の表情の変化も昔よりつけられるようになってきてるかな、と。そういう意味でより〈ダイレクト〉に〈メッセージ〉を届けられる歌声になったと思いますね。あとは、ライヴで新曲を披露しながらリリースに繋げていく流れも良くなってきて。ライヴでお客さんと作品が出来上がるまでの過程を共有しながら、曲を育てていくのが凄く好きですし、その順序がいまの三浦大知のスタンスにピッタリだと思っていますね」


——ライヴと作品が不可分ってことですね。


「そうです。そこはダンスと歌を別個に考えられないのといっしょですね。今回の『D.M.』もよりライヴを意識した作品というか、曲を聴けばパフォーマンスが目に浮かぶし、ライヴを観ればさらに曲の良さが伝わるようなものにしたいと思ってました」


—初の武道館公演も来年5月3日に決まりましたが、作ってる最中にそれ仕様の曲を意識したりしましたか?


「武道館はずっと前からひとつの目標で、先日もKREVAさんに呼んでいただいたりステージに立ったことはあるんですけど、自分のライヴをやれるのは凄く嬉しいですね。今回の作品をそれ用に作ったというよりは、ガッツリ大音量で“Black Hole”鳴らせたら最高だな……とか、作品からまたステージのイメージが膨らんでくる感じですね」


——その“Black Hole”は特にキャッチーなツカミになってますね。


「ミッドで、かつダンスのパフォーマンスがちゃんと見えるものがいいなという話をNao'ymtさんにしていた時に、ダブステップ+R&Bという形を提案していただいたんです。僕自身もNaoさんにしかできないものをお願いするし、Naoさんもたぶん三浦大知でしかできないものや〈これを大知がやったらどうなる?〉というものをいつもぶつけてくれるので、いつも嬉しい刺激になっています」


文字通りリスナーを引き込む“Black Hole”で幕を開ける『D.M.』は、同じくNao'ymtによるスムースな“Touch Me”へと滑り込んで、グイグイ加速していく。「サーカスっぽい、バーレスク調の世界観でパフォーマンスが組み立てたかった」という“Illusion Show”はゴージャスなステージングが目に浮かぶようだし、シングル群で好評のMOMO“mocha”N.とU-Key zoneを交えたチーム感も継続。「タイトルも含めてアホっぽいというか(笑)、何も考えずにそのまま盛り上がれるような曲」と語る“Love is like a bass line”や、千晴の詞が人間臭い感情を醸す“Only You”など、UTAと組んでのセルフ・プロデュース曲も充実している。楽曲個々の出来はもちろんだが、ソロ・デビュー前からの縁となるK-Mutoと久々に組んだ“Magic Word”で穏やかに幕を下ろすまでの、アルバムとしての佇まいが素晴らしいのだ。



チャレンジは続く

——今回も自分で書いた曲はありますけど、誰が書いてもこの人が歌えばその人のものになる感じは強くなりましたね。


「そう言っていただけると嬉しいです。自分でも何曲作ろうとかいうプランは全然なくて、いろいろな人にお願いしながら自分も並行して曲作りをしてる感じですね」


——今作を踏まえて、またこの先のヴィジョンも出てきましたか?


「今回は声の部分でいろいろなチャンネルの曲を作るっていうのにチャレンジできたので、逆にひとつのコンセプトで作品をやれたらおもしろいなと思うし。あと、“4am”をやった時に、自分が聴いてきたR&Bの真ん中を意外と歌ってなかったな、と気付いたので、そこも掘り下げてみたいです」


——真ん中というのは?


「ボーイズIIメンとかもそうですし、K-CiとかR・ケリーみたいな熱いR&Bを好きで聴いてきたんですけど、自分も年齢的に男臭いものがどんどん歌えるようになってはきてるから、そういう曲も増やせたらいいなと」


——ちなみに最近の新譜だとどのあたりを聴いてますか?


「ジョーはジョーで凄く素敵だったし、ブライアン・マックナイトとか、ずっと聴いてる人の作品は普通に追ってますね。ジャンルで追わないでいろいろCDを買うようにしていて、最近だとミュートマスが良かった。あとはパトリック・スタンプとか……その時々によってチャンネルはいろいろ変わるんです。クリアな歌に憧れてた頃はジェイミー・カラムとかウーター・ヘメルのヴォーカルを聴いてたり、そういう興味に集中して聴くようになっていますね。“Black Hole”を作ってからは、ああいう理屈じゃないトラックの鳴りとかが気になってて、その意味だと最近はサカナクションさんが格好良いですね。一曲がドラマティックで映像も見えるし、聴かせる部分もあって」


——音響や音像に意識が行ってるってことは、今後はトラックメイクも自分で?


「始めたところですね。最後まで自分で形にしたいわけじゃなく、例えば自分にヴィジョンがあるなら、ある程度の骨組みだけでも自分で作れたほうがスタッフの皆さんとイメージを共有もしやすいと思いますし」


——そういう音の格好良さは今回の『D.M.』でも追求されてますし、女性ファンの割合が高いとは思うんですけど、もっと男にも騒いでほしいんですよね。


「もちろん、もうガンガン聴いてほしいですよ(笑)。ダンサー人口が増えていることもあってか男性のお客さんも増えてきてるので、いつかは男限定のライヴもやりたいと思ってるんですよね」


——まだまだチャレンジは続きますね。


「そうですね。毎回そう思ってますけど、今回は特にどんな音楽が好きな人にも琴線に触れる瞬間が必ずあるはずなので、ここから三浦大知に入ってもらえる内容だと思います。なので、まずは再生ボタンを押して、“Black Hole”のイントロにヤラれてほしいですね」



▼三浦大知の近作を紹介。

左から、2009年作『Who's The Man』、2010年のツアーの模様を収めたDVD「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2010 GRAVITY」(共にSONIC GROOVE)

 


▼『D.M.』からの先行シングルを紹介。

左から、2010年の“The Answer”“Lullaby”、2011年の“Turn Off The Light”(すべてSONIC GROOVE)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年11月30日 18:00

更新: 2011年11月30日 18:00

ソース: bounce 338号(2011年11月25日発行)

インタヴュー・文/出嶌孝次

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