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インタビュー

INTERVIEW(4)――良いメロディーを作りたい



良いメロディーを作りたい



――では、新作『Take Ship ~five years self cover best~』についてお訊きします。新曲を含めたセルフ・カヴァー・アルバムですが、このアイデアはどういったところから出てきたのでしょうか。


栗原「最近はアコースティック編成のライヴをちょくちょくやってるんですけど、自分たちの曲をシンプルな編成で演奏したことで、いろんな発見があったんですよ。〈こういうアレンジもありだな〉とか。そのことがひとつのきっかけになってます」


久保田「“キミスム街ヘ”は、もともとはリズムが効いた曲なんですけど、今回はバラードっぽくなってたり。ライヴからヒントを得たアレンジは多いですね」


――自分たちで歌う比重が上がってきたという話を先ほどしてましたが、今回はすべての楽曲でお2人がヴォーカルを取ってますね。


栗原「いろんなスタイルの曲があって、いろんなヴォーカリストが歌ってると、ちょっと統一感に欠けるかなと思ったんですよね。今回はJazzin'parkの顔がわかりやすく見えるアルバムにしたかったんです」


久保田「結成5周年ということもあって、集大成になるような、名刺代わりの作品を作りたかったし、一度自分たちで全部歌うのもおもしろいんじゃないかなと」


栗原「ポップスのアルバムって、いろんなスタイルの曲が入っていても同じ歌い手が歌うことでアルバムとしてまとまるところがあるじゃないですか。今回はそういう感じに近いのかもしれないですね」


――実際、ポップス志向がより濃厚に打ち出されてますよね。キャッチーで勢いたっぷりのアルバムだなあと。


栗原「細かいところが気にならなくなってきたんですよね。もちろん、いまも普通にヒップホップやハウスは好きなんですけど……以前はビートの質感なり、コードの進み方なりに〈こうじゃなきゃ格好良くない〉みたいなこだわりがすごくあった。そういうのがだんだんなくなってきて、いろんな形の良さがあるってことを受け入れられた。細部にこだわるよりも、Jazzin'parkの個性を前に出したいという気持ちから、ポップ寄りの音になったのかもしれないですね」


――アコースティックな楽曲が増えた一方で、アッパーな曲はさらにアッパーなアレンジになってますよね。エレクトロニックな肌触りになってますし。


栗原「もっと昂揚感が欲しいなあと思って、“Rise”とか“Lonely”は派手な音になってますね」


久保田「突き詰め切れてなかった部分を、今回は突き詰めた。優しい曲はもっと優しく、エッジの立った曲はよりエッジーに……という」


Jazzin'park_A

――バラード・タッチの楽曲もありますし、いまはクラブ・ミュージックをベースにするような意識はそこまで強くないですか?


栗原「僕個人はクラブの要素を入れたいですね。でも、そこに囚われたくないって気持ちは強くなってます。もっと解放されたいと言うか」


――では、クラブ・ミュージックのトレンドを意識したりもしていない?


栗原「クラブ・ミュージックのすべてを新鮮に感じていた時期もあったんですけど、いまは興味の矛先が広がったからか、そこからだけ影響を受けてるわけではないです。もちろん、いまだに〈なにこれ!?〉って驚きを与えてくれるクラブものもありますし、今回のアルバムにエレクトロ・ハウスっぽい曲が入ってきてるのも、現場からのフィードバックがあってのことだと思います。ただ、海外のシーンを意識して〈こういう感じの音にしよう〉みたいな話はもうしてないですね」


久保田「良いメロディーを作りたいって意識がいちばん先にあるし、そのメロディーにいちばん見合ったアレンジにしようと考えてるだけなんですよね。だから、クラブ的なサウンドを意識するわけではないです。とにかくアレンジの幅を狭めたくないんですよ。逆に言うと、例えばJ-Popだからこういうアレンジに……みたいなことも考えたくないですし」


――メロディーありきってことは、やはりポップスの方向を向いているってことですよね。このアルバムを経たうえでの、今後のJazzin'parkのヴィジョンはありますか?


栗原「〈こういう方向の曲を作りたい〉っていう明確なイメージはいつも持ってないんですよね。他のヴォーカリストに歌ってほしい曲が出来る場合もあるだろうし、日本語の詞で作りたい場合もあるだろうし」


久保田「ただ、アレンジの幅はどんどん広げていきたいし、オリジナルの良いメロディーを書くって部分は死守したいです」


栗原「そうですね。メロディーにしてもサウンドにしても、聴いたら一発で〈これってJazzin'parkじゃない?〉ってわかるような個性を、より強く出していけたらいいなと思います」



カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年12月07日 17:59

更新: 2011年12月07日 17:59

インタヴュー・文/澤田大輔