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インタビュー

堂島孝平 『あのコ猫かいな/どぶそうじ』



堂島孝平



[ interview ]

昨年はレーベル移籍からまもなく、初のオールタイム・ベスト・アルバム『BEST OF HARD CORE POP!』をリリース。持ち前のポップネスをさらに広げんと、新たな気持ちでフィールドに臨んだ堂島孝平が、来るべきニュー・アルバムの発表を前に、タワーレコード限定でフリーペーパー「DANA! ~For Your Poppin' Life~」の配布を開始。その2号目としてワンコイン・シングル『あのコ猫かいな/どぶそうじ』をリリースする! シングルのことから近況、完成間近のアルバムのことまで、あれこれと訊いてみましたなう。



常に狙ってますよ!



——去年の暮れにベスト・アルバム『BEST OF HARD CORE POP!』が出て。初のオールタイム・ベストということだけあって聴き応えのあるヴォリューム(2枚組、34曲)だし、昔の曲とか聴いてると、あたりまえだけど〈声が若いなあ〉って(笑)。

「ですよね(笑)。まあ、ヴォーカリストということで言えば、いまがいちばんイイんじゃないかな。『UNIRVANA』(2008年)あたりから、〈イイ歌を歌う〉っていうテーマがハッキリしてきて、『BEST OF HARD CORE POP!』にも“ハヤテ”っていう新曲が入ってますけど、いまはそれがさらに進化してるってところはありますね。以前はわりと楽曲志向というか、メロディーが良かったりとか単にエッジが立ったことをするっていうところに深く突っ込んで考えていたけど、いまはそれプラス、ちゃんとひとりのシンガーとして〈イイ歌〉を歌いたいっていうね」

——イイ歌が歌えてる=歌が上手くなった……っていうのとは違いますよね。

「上手い下手っていうところはね、実はあまり気にしたことがなくて。気にしたことがないっていうよりも、もともと歌声にコンプレックスがあったから、上手い下手とかそういうところじゃない部分——フックだったりとか、歌詞だったりとか曲調だったりメロディーだったり歌い方とかってところを究めてやってきたんですけど、『BEST OF HARD CORE POP!』は、クリエイターとしての自分の立ち方とシンガーとしての立ち方がおもしろいタイミングで成長していく、そういうものが見えるものになったかな」

——周囲のリアクションはどうでした?

「すごく喜ばれてる印象はありますね。もちろん、そのために作ったっていうのもあるし、あとはその、最新曲からデビュー曲まで時代をさかのぼっていく曲順なんですけど、どれを聴いても結構いま聴ける、っていうことをよく言われます。その時代特有の音とか、音の処理の仕方とかはもちろんあるんですけど、鼻の利かせ方というのか、いま聴いても〈これ古いなあ~〉っていう感じがそんなにない。常に世の中に対して新しいものを提示するっていうのもすごく大事にしつつ、自分自身をアップデートさせながら音楽をやってきたから、それが良かったんだろうなって」

——デビューは95年ですよね。野茂がメジャー・デビューしたのと同じ年(笑)。

「そう(笑)。去年、佐野元春さんの30周年のライヴでゲスト・ヴォーカルとして呼ばれたんですけど、そのときに野茂さんもいらしてて」

——野茂選手もメジャーのいろいろな球団でプレイしましたけど、堂島さんも『BEST OF HARD CORE POP!』のタイミングからレーベルが変わりましたよね。

「はい、4球団目です(笑)」

——やはり新鮮な気持ちになるものですか?

「そうですね。いつでもその、風通しの良いところで……野球で言う攻撃か守りかってことだと、音楽に関してはずっと攻めの気持ちでやっていたいんですよ。長くやっているとそれなりの基礎体力がついてくるから、そこにあぐらをかくこともできるっちゃできるんですけど、それだとつまらないなあって思うんですよね。今回、テイチクの方がいっしょにやろうって声を掛けてくれて、で、自分より年下のスタッフも多かったりっていうところからの刺激もあったりして、いまはすごくおもろいっすよ」

——また新たなハイライト・シーンを見せてくれそうな予感が。

「常に狙ってますよ! 作品を出すだけじゃなくって、出すならイイもの作りたいし、自分の身の丈に沿ってずっとやってきましたけど、極端に落ち込んだこともないし、ずっとキープしてきたっていう自負もありますからね。自分の音楽をもっとたくさんの人に聴いてもらいたいし、堂島孝平のことをどこかのタイミングで知った人っていうのはトータルの数でいうとそんなに少なくはないわけだから、その人たちが〈あいつやったな!〉とか〈聴いてきて良かったな〉とか、〈あいつまだいたんだ〉でもいいんですけど、そういうことを言わしめる可能性はまだまだあるって、そういうロマンを持ってますね」

——ヴォーカリストとしていまがいちばんだっていうことですし、可能性は十分あり得ますよ。

「ずっとやり続けてるっていうのは、自分としては普通なんですよ。でも、やってきてるだけの体力だとか、自分のなかで磨かれているものもあるだろうし、曲が書けなくなったっていうこともないから、それはすごいことなんですよね。若干ネックになってるところがあるとすれば、良い音楽、堂島孝平ならではのものをコンスタントに作り続けてきてるっていうところ。それが世の中の人にとって普通になっちゃってるんじゃないかっていう。あたりまえにあるっていうことは良いことなんですけどね。だから、解散して再結成するっていうのはマジでうらやましいですよ(笑)。うらやましいけど、自分がそうできないことに悲しんでるわけじゃなく、たとえば同じレーベルでいうと怒髪天みたいな、ずっとコンスタントにやり続けてきた人が人気者になっていくっていうのにとてもシンパシーを感じるし、そういうバンドやミュージシャンは何人もいますけど、僕もそのなかのひとりだと思ってやってます。ずっとやり続けてきたからこその安心感っていうのはすごく大事だなって思うし、それがあってこそ自分が自分のことを余計遊べる──いまはそういうところに行き着いてますね。堂島孝平のことをよく知ってる人にとっても、さらに新しくなってるって思ってもらえるものが作れてると思いますよ」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年02月22日 18:04

更新: 2012年02月22日 18:04

インタヴュー・文/久保田泰平