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インタビュー

LONG REVIEW――堂島孝平 『あのコ猫かいな/どぶそうじ』



堂島孝平_J170

2月22日、〈猫の日〉にリリースされる新曲は、その名も“あのコ猫かいな”。曲の出だしで描写される――終電が終わったあと、猫系の無邪気な彼女のことを思いながら深夜の線路沿いをとぼとぼ歩く――〈俺〉の姿は、まるで迷子の子犬みたいだ。曲は軽快に始まって、爽やかなメロディーを翻しながら、アップテンポなビートが駆け抜けていく。オープニングの脳天気な口笛。ドタバタとビートを刻むドラム。サビでは〈HEY!〉〈よう!〉とコール&レスポンスしたりと、ハイテンションなポップセンスが炸裂して、あっという間の3分ちょっと。そこで歌われているのは、慌ただしく過ぎ去っていく日々のなかで、大好きな彼女のことを想うささやかな歓びについてだ。曲の最後には夜明けを迎えるが、その眩い朝日のように〈明日へのメロディー〉がキラキラと輝いている。

そして、もう1曲の“どぶそうじ”は、苦手などぶそうじに頭を悩ませる男の子の歌。学校のブラスバンド部が演奏しているような楽団風のサウンドにハープの音色が加わったりして、遊び心たっぷりのアレンジが光ってる。〈どぶそうじ〉や〈回覧板〉など生活感たっぷりの言葉を織り込まれた歌詞からは、ノスタルジックな情景のなかに少年だった頃の堂島の姿が浮かび上がってくるようでもあり、NHK「みんなのうた」なんかにぴったりな雰囲気。どちらの曲も、震災以降かけがえのないものになった平凡な日々を愛おしむような心優しきポップソングだ。ワンコインのシアワセがここに。


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掲載: 2012年02月22日 18:04

更新: 2012年02月22日 18:04

文/村尾泰郎