Ryu Miho
「歌詞から広がるイメージを大切にしたい」
透明感のあるやわらかなヴォーカルで、ジャズのスタンダードから洋楽のカヴァー、そしてオリジナル楽曲を歌う。LAで生まれ、帰国後は聖歌隊やバンドなどで歌ってきたRyu Miho。新作『…and you will find me』でメジャーデビューだ。
「この2年間ずっとギタリストと2人だけでライヴを続けてきたので、その延長にある作品を作りたいと思ったのがひとつ。素晴らしいミュージシャンの方が参加して下さったので、この機会ではないと出来ないようなライヴ感があり、聴いている方がメンバーの一員になったような気分になれる作品を作りたいと思ったのもあります」
収録曲にはライヴでお馴染みの曲もある。たとえば、シンディ・ローパーの《タイム・アフター・タイム》とか。他にボブ・ディランの《ジャスト・ライク・ア・ウーマン》のカヴァーなどがあるが、選曲の幅がかなり広い。
「もともとジャズは好きなのですが、ジャンルに関係なく、歌詞に惹かれる部分が大きいですね。シンディ・ローパーの曲もずっと私の心の支えになった曲です。ボブ・ディランは、歌詞を読み、曲を聴くと、泣けてしまうものばかりで、彼の哲学が投影されている歌詞が大好きです。《ジャスト・ライク・ア・ウーマン》もこの歌詞が今私の伝えたいメッセージを代弁してくれているので選びました」
自身が音楽に慰められたり、支えられてきたりした経験があるので、歌を通してメッセージを送りたいというのがひとつのテーマになった。彼女のヴォーカルにも人を癒す力がある。
「自分の声って知らないもので、高校時代はディープ・パープルなどを歌っていたので、力強い声を出すために体を鍛えていました。でも、その後出会ったプロデューサーにアドバイスしてもらったことで、本来の声に戻れたのだと思います」
今回サウンド・プロデューサーに起用されたのはジャズ・ギタリストの安部一城。シンプルだが、波音などが新鮮に響くアレンジになっている。
「私の中にあるイメージを抽象的なカタチで安部さんに伝えるところから始まる方法で作っていったサウンドです。私の場合、選曲する時に歌詞がポイントになり、その歌詞から広がるストーリーと、その映像的なイメージを大切にしたいという気持ちが強いので、それを伝えていますね」
歌からそのイメージがジャジーに膨らんでいく。それが大きな魅力となっているような作品だ。