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インタビュー

平賀マリカ

エリントン楽団と行くハーレムへの旅

エリントンの死後は息子マーサーが、現在は孫のポールが音楽監督を務めるデューク・エリントン・オーケストラ。平賀マリカの新作は、そのエリントン家によって受け継がれてきた老舗中の老舗にして世界最高のビッグバンドとの共演盤だ。一説には3千以上あるともされるエリントンの作品だが、選曲の苦労とともに、発見の喜びもまたあるだろう。選曲には平賀と、現在は楽団を実質的に取り仕切り、今作でもアレンジ/指揮を担当したトミー・ジェイムズがあたった。

「私がどうしても歌いたかったのは《ドロップ・ミー・オフ・イン・ハーレム》。トミーさんも知らなかった曲だったんですが、往時のハーレムを彷彿とさせる良い曲だなと以前から思っていたんです。トミーさんもすごく喜んでくれました」

対するトミー・ジェイムズからの提案は《アイム・ゴナ・ゴー・フィッシン》。映画『或る殺人』のために書かれた曲だが、のちにペギー・リーが自身で詩をつけて歌ったことでも知られる。

「シニカルでとても面白い詩ですよね。トミーさんは、エリントンのあまり知られていない一面を、私の歌を通して広めて欲しいと言ってくれて、本当に色々とチャレンジをしてくれたと思います。一緒に作っているんだと感じましたね」

一方で、《ソリチュード》《イン・ア・センチメンタル・ムード》など、エリントンの代名詞とも言えるバラードの名曲も収録している。

「スローだけどすごく深い、独特のスウィング感があるんです。あとは、それぞれの曲の、その格好良さをしっかりと表現すること。それと、映画の『コットンクラブ』を観ておいて良かったと思ったんですが(笑)、当時のハーレムの雰囲気を出すこと」

アルバムのラストにはNYで活躍する作曲家、小杉厚によるオリジナル曲が置かれている。

「オフの日に小杉さんとライヴに行ったんです。月曜の夜はビックバンドを色々な場所でやっているんですが、近所のおじいさんやおばあさんがお洒落して、それこそ教会に行くような格好をしてとても楽しそうに踊っていたんです。小杉さんはその時のイメージを曲にしてくれました」

子供の頃に観たビッグバンドが今でも心に焼き付いていると嬉しそうに話す平賀だが、ビッグバンドとの共演は今作に留まらず、今後はプロアマ学生問わず共演していく予定だそうだ。平賀からのハーレム土産ともいえるライヴになるだろう。

LIVE INFORMATION
7/1 (日)名古屋ブルーノート featurig C.U.G. Jazz Orchestra
7/4 (水)ビルボードライブ大阪 featurig Arrow Jazz Orchestra
7/12(木)STB139スイートベイジル/六本木 featuring Marica Hiraga Premium Big Band

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年04月27日 17:55

ソース: intoxicate vol.97(2012年4月20日発行号)