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インタビュー

LONG REVIEW――THE CHERRY COKE$ 『BLACK REVENGE』



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アイリッシュ・トラッド+パンク・ロック+ジャパニーズ・スピリッツ=〈THE CHERRY COKE$サウンド〉を引っ提げて、TVアニメ「GIANT KILLING」の主題歌“MY STORY~未だ見ぬ明日~”でお茶の間に乱入したのは2年前のこと。その波に乗ってよりポップに親しみやすく……ならないのが彼ららしいところで、通算5作目にしてメジャーからのファースト・アルバムとなる『BLACK REVENGE』の印象は、〈勇往邁進〉〈質実剛健〉〈頑固一徹〉といったもので、音の重さ、強さ、激しさに1ミリの妥協もないのは、注目されない時期も体験したキャリア10年以上のバンドの矜持というものだろう。

(ほぼ)ファストコアにアイリッシュ音階を合わせた1曲目“LUMBER JACK RIOT”から攻撃意欲満々で、リード曲“KISS IN THE GREEN~Drunken lovers nite~”のような陽気なダンス・ナンバーはむしろ例外。ホーンのフレーズにスパニッシュの香りを感じる“DEAD END”や、ひときわメロディーがポップな“FORWORD AGAIN”、キャッチーなビート・ロックの趣もある“嘆きのMELODY”なども、音色だけ取れば非常に重く激しく、ハードコア印がドンと真ん中に押してある。そのなかでは珍しく、クリーン・トーンのギターと柔らかいシンセ音で幕を開ける8曲目“BLUE PAIN”や明るいメロディーの“BRIGHT THE LIGHT”は、キツイ酒の合間のチェイサーの役割か。

音楽を聴いて陽気に踊りながらも、ぐっとコブシを握り締める感覚がほしいリスナーには、有無を言わずに薦めたい。それから歌詞を読み、ロマンティックな表現を散りばめたなかに、偽善と抑圧にNOを、夢見る者と未来を信じる者にYESを、熱き言葉で語りかけるメッセージに共感できれば、THE CHERRY COKESの世界はあなたのなかでさらに大きなものになるはずだ。


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掲載: 2012年07月04日 18:00

更新: 2012年07月04日 18:00

文/宮本英夫