インタビュー

『hide TRIBUTE VI -Female SPIRITS-』『hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-』



THE CHERRY COKE$×THE NOVEMBERS



[ interview ]

驚くほどにさまざまなスタイルのアーティストが参加し、hideの音楽が持つ多彩な音楽性を伸びやかに表現してきた〈SPIRITS〉シリーズだが、その第6弾と第7弾の同時リリースをもって、ひとまず完結することがアナウンスされた。多様なフィールドで活動する女性ヴォーカリストがhideの楽曲に華を添えた『hide TRIBUTE VI -Female SPIRITS-』と共に有終の美を飾る7枚目のトリビュート盤『hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-』は、GLAY、ZEPPET STORE、D’ERLANGERなどhideと縁の深いビッグネームが集った豪華なラインナップになったが、そのなかで、この2組は異色の存在感を放っているのではないだろうか。陽気かつワイルドなアイリッシュ・パンク・バンドのTHE CHERRY COKE$と、ダークでイマジネイティヴなオルタナティヴ・ロックを鳴らすTHE NOVEMBERS。彼らがそれぞれの解釈でhideの楽曲をカヴァーした2曲は、アルバム中でもひときわインパクトの強いもの。今回はTHE CHERRY COKE$からHIROMITSU(ベース)とMOCCI(ドラムス)、THE NOVEMBERSから小林祐介(ヴォーカル/ギター)と高松浩史(ベース)を迎え、〈hideとはいったいどんな存在だったのか?〉についてたっぷりと語ってもらった。



アレンジに凝った挙句……



――今回が初対面でしたっけ?

HIROMITSU「そうです」

小林「初対面です」

MOCCHI「よろしくお願いします!」

HIROMITSU「ちなみに、いまおいくつですか?」

小林「今年で28になります」

MOCCHI「じゃあオレらが7個上ですね」

――せっかくの機会なので、それぞれの世代や音楽性の立場からhideさんについて大いに語り合ってもらいたいと思います。まずは選曲の経緯から訊きたいんですけども。まずTHE NOBEMBERSは“DOUBT”を選びましたね。

小林「いくつか候補を挙げたなかで、残ったのが“DOUBT”でした。最初は“MISERY”“FLAME”“限界破裂”とかを挙げていて、そのへんの曲をストーン・ローゼズ風にやろうかなと思ってたんですけど、もうちょっとエネルギッシュなものがいいかな?というふうに考えが変わって、“DOUBT”が出てきました。で、エネルギッシュと言いつつナイン・インチ・ネイルズ風とかいろいろ試してみたんですけど、そうするとzilchに近付いていっちゃったんですよ」

HIROMITSU「ああ~(笑)」

小林「ナイン・インチとかポーティスヘッドとか、そういうふうにやったらカッコ良いなと思ってやってたんですけど、〈これはどうやらzilchだぞ〉と(笑)。それでテイストをサヴェージズとかのポスト・パンク寄りに変えて、ゴシックでノイジーなほうに持って行って……というアレンジにしていきました。はち切れそうなテンション感はそのまま引き継ぎつつ」

高松「普段はあまりやらないアレンジなんですけど、いろいろ考えて結果的にストレートになったと思います。人の曲に関わる時には、凝りたくなる性質だったんですけど、たくさん凝った挙句、ここに落ち着いたって感じですね」

――そしてTHE CHERRY COKE$は“D.O.D. [DRINK OR DIE]”を選びました。

HIROMITSU「僕らは完全に〈D.O.D.〉一点狙いです。僕がリアルタイムで聴いていた曲だったし、思い入れがあったんですよ。歌詞も僕が思うに〈バンドマンの極意〉みたいなイメージがあって、打ち上げで朝まで居酒屋で飲んで、音楽をやって夢を見て……とか、〈バンドマンってそうだよな〉という、形から入る影響も大きかったし。そういうhideさんのアッパーな部分が、THE CHERRY COKE$のアイリッシュ・パンクというお祭り騒ぎのサウンドにぴったりだから、これしかないと思ってやりました。アレンジもすぐ決まったもんね?」

MOCCHI「そう。THE CHERRY COKE$とお酒は切っても切れないものになっていまして(笑)」

――イントロとアウトロに、飲み屋からの実況中継みたいなリアルな音が入ってますけども(笑)。

HIROMITSU「あの乾杯の音、みんなで本当にやってるんですよ。レコーディング・スタジオの隣が地ビール屋さんで、そこでビールを買って来て飲んで騒いでレコーディング(笑)。さっきTHE NOVEMBERSの皆さんもおっしゃってたように、僕らも曲をいじることに面白味を感じちゃうんですよ。頭の2ビートの入りも、〈ワンコードで、モーターヘッドみたいにやろうぜ〉とか。いろんなアイデアがどんどん出てきて、短い時間だったけどすごい集中できました」


掲載: 2013年12月11日 18:01

更新: 2013年12月11日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫