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インタビュー

INTERVIEW(2)——伝統を守るというより、ただ楽しく歌っている



伝統を守るというより、ただ楽しく歌っている



MAREWREW_A2



――グループのスタート時からそういう感じなんですか?

REKPO「最初は3人でスタートしたんです。そこからメンバーがひとり増えて、同時に面白味も増えて。どんどん歌っていくうちに、より魅力を発見していった感じかな」

MAYUN KIKI「前は自分たちがよく知っている曲をやってたんですけど、今回は自分たちもあまり聴いたことのない曲をやろうと。いままで少し形式ばっていたというか、まっしぐらにウコウする感じだったんですけど。今回はレコーディングの間にも順番を変えたりして」

RIMRIM「いままでライヴでやっていたものが当日のレコーディングでだいぶ変わったりしましたよ」

REKPO「でもね、よしやるか!となったら速攻やれちゃうんです」

MAYUN KIKI「ただ、そこにOKIさんが入ってくると、すごくややこしくなって……(一同笑)」

HISAE「彼もほら、良くなればと思って……」

MAYUN KIKI「アドヴァイスをくれるんだけど、放っといてよ!みたいな感じで4人がどんどん決めていっちゃう。プロデューサーさんなのに顔を立てなくて申し訳ないんだけど(笑)」

REKPO「ごめんね~(笑)」

MAYUN KIKI「歌っていて気持ちいいほうが大事だから、ここにこの音を入れないで、って言っちゃったり」

REKPO「でもそれが良かったんだよね、今回は。前作は歌ったものを彼に丸投げしてたけど、今回は自分たちで楽器の音とか選択したりして」

MAYUN KIKI「OKIが用意したバック・トラックを、それではやりたくない!って、その場で一から作り直しってもらったこともあった。あれはすっごい空気凍ったね。おいおい何言ってんの?みたいになって(笑)。〈じゃあ、お前はどんなのがいいの?〉ってキレ気味だったけど。でも〈以前の繰り返しになるようなことはやりたくないから〉ってキッパリ言った。とにかく〈このアルバムは4人で作りました!〉って言い切れるものを作りたかったんで。彼は1週間のうち、4日徹夜してたかな。でもその間もずっと注文付けてたんだけど(一同笑)」

――伝統音楽に取り組んでいる作品としては、好奇心の膨らませ方が異質というか、かなりユニークですね。作り手のワガママな感じはいい感じに出ているかも。

MAYUN KIKI「前作がストイックに伝統音楽を追求した内容だったので、今回は遊び心を採り入れたいと思ってました。アルバムのタイトルもちょっとふざけてる、とか言われたんだけど」

――いや~凄くいいですよ、これ。

MAYUN KIKI「いいでしょ~? 今回こそ4人で作り上げたと思える作品になったから、『MAREWREW 02』にするって案もあったんだけどね(笑)。伝統音楽の作品ってとかく堅く思われがちでしょ? ウコウクだけだとちょっと重たいし、OKIさんの音楽性を注入してもらって、初めて聴いた人にはアイヌの音楽ってこんないろんなことやっていてもいいんだ、って思われるように作りました。私たちがこんなに自由にやれているってことを示せれば、他のアイヌ音楽をやっている人だってやりやすくなるだろうし」

REKPO「伝統音楽で、アイヌで、ってなると、どうしてもすぐに自然がどうの、カムイがどうのって話になっちゃうんですよ。聴いていたら何かが降りてくるとか言われちゃうんですよね~(笑)。あと、〈マクドナルドに行ったりしますか?〉って真剣に訊かれたり」

一同「そうそうそうそう!」

MAYUN KIKI「だから私たちを理解してもらうには、楽曲で表現したほうがいいって思った。前作を聴いた人は、音楽と普段の私たちとのギャップに驚くんですね。穏やかで、神秘的な空気を纏った女性、みたいなイメージがいつも……」

REKPO「プププ、神秘的だって~(爆笑)」

MAYUN KIKI「だから今回はふざけて録った音源を入れちゃったりしたし」

HISAE「でもね、昔のテープを聴いてたら笑い声とかいっぱい入ってるんだよね。で、その自然な笑い声がすごく良くて」

REKPO「鳩時計の〈ぽっぽ~〉って音が入っていたりね。子供の泣く声とか。そういうのにしたかったの、今回のアルバムは」

MAYUN KIKI「4人は伝統を守っていくぞ!ってことじゃなく、ただ楽しく歌っているんだよ、っていうのが伝わればいいなと」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年08月08日 17:59

更新: 2012年08月12日 19:30

インタヴュー・文/桑原シロー 写真/森 孝介